- 運営しているクリエイター
2023年4月の記事一覧
風化
慣れは元々の感性を歪めてしまう。特別だと思えた景色も、察知できていた危機も、日に日に落ちる感度に従って風化して見える。捉え方を自ら変えなければ求める刺激に応じて高まる副作用に身を滅ぼすだろう。今の生活が退屈に思えたとき、快楽を得に行く前に一度近辺に散らばった風景を見直すことも大切だ。
ISO100
f5
1/400s
釘付け
古くなったら次々と新しいものを建造するのは見映えの悪いものを避ける人が多いからだ。真っ白なガラス張りの建物なら良いと言うなら、それがいつまでそうあり続けるのか、そのためにどれだけの費用が必要なのかを問いたい。少なくとも錆朽ちても原型の分かるそれは我々の目を真っ先に釘付けにする。それを無価値と言い切るには無理がある。
ISO100
f5.6
1/320
一服
軽く腰掛けて一服するためだけに高価な椅子は必要ない。束の間を確保するために選り好みし、行程を確定している間はいつまでも期待を超えることができない。自分に枷をかけ、未達で終わるかもしれないと卑下していれば相対的により多くの想定外を感受することができる。そして絶望は金を払わずとも無限に手にすることができる。
ISO100
f5.6
1/640s
核心
前後関係を見誤ると単純なことを理解できなかったり、間違って認識したりする。物事の核心をつくには知識の幅や深さも重要だが、時系列に無頓着であればどれほどの叡智があれど何も成果を得られない。よく多角的視野を以て現象を見極めろと言われるが、四次元的思考が身につけば至高な眼力すら低次元に成り下がる。
ISO100
f5
1/500s
虚勢
他人と正面から競うことは苦手だ。上手くできないものから逃げ、誰もいない場所を探してまで虚勢を張り続けるのは、自分の弱さを受け入れる心の強度すら持ち合わせていないからだ。自分を騙すことでしか平常心を保つことができないのだから今更競争に割って入ることは自殺行為に等しく思える。成功体験が一つでもあればどれだけ強く在れただろう。
ISO100
f5
1/100s