足元
競争に敗れ、思い描いていた進路から外れて以来、限られた選択肢の中で小さく丸まって生きていかなければならないのかと漠然とした絶望感に苛まれてきた。それも自然の摂理なのだと開き直ることができるようになったのは、足元ばかり見て歩いていた過去があったからだ。改めて今いる環境、今の生活、手に入れた愉しみを振り返ると、柔軟で、拡張性があり、自己生産ができるという点でかつて描いた無知の上の理想よりも崇高な領域にいることを断言できる。足元にある景色は無価値だから無視されるのではない。誰もが見落としているから無価値なのだ。そうやって絶望を一つ一つ拾い上げて愉しみへ変換している。
ISO100
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