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2023年1月の記事一覧
町
既に脳裏にある風景でも時を経て再見すると何かが変わって見える。風景を見間違えれば当然道も違え、覚えのない景色を眺めていたり、案外勘が鮮明になったりする。そんな体験ができるのは町を離れた経験があるからこそだ。居心地の良い環境を見つけて住まうことへの憧れはあるが、留まり続けることがその地を深く知ることだと安易に認識するのは避けるべきだろう。
ISO100
f5
1/160s
業
比較的気ままに歩いているつもりでも、他人からは縛りをかけているように見えるようだ。確かに身の回りには娯楽が溢れていて、もっと簡単に物事を捉える余地はありそうだ。しかし、自分にとっては今既に受けている恩恵で十分であり、むしろ恵まれた環境に順化してしまうことを危惧し続けている。障害のない環境で自由を謳う人間の業は深い。
ISO400
f3.2
1/80s
朧気
いつかは当たり前のように見て触れていたはずなのに、今や朧気な記憶として圧縮されてしまっている景色や感覚がある。それを呼び起こすには解凍する作業が必要で、その為に似たような道を歩んでみたり、同じ選択をしてみたりする。運良く取り戻したものが燻んだ色ばかりだった時、美化された状態のままにしておくのも一つの手段だと理解できる。
ISO100
f5.6
1/400s
孤独
自分とばかり向き合うくせに、孤独を感じると他人に甘えたくなるのは未だに自分を誇りに思えていないからだろう。それを紛らわすためにまた一人になることを選ぶとは我ながら救いようがない話だ。人間は一人では生きられないとよく言うが、それは能力の限界を指すでも、生理的屁理屈でもなく、個性と共に肥大する不可避な孤独感を表しているのではないかと疑っている。
ISO400
f5.6
1/500s