藤井月

職業はwebライターと主婦業。日頃はコスメ系のライティングなので、こちらでは自由に書いてみたいです。ペンネームはネットのツールで出てきた「藤井月」。住んでるのは都内。年齢はとても書けない。

藤井月

職業はwebライターと主婦業。日頃はコスメ系のライティングなので、こちらでは自由に書いてみたいです。ペンネームはネットのツールで出てきた「藤井月」。住んでるのは都内。年齢はとても書けない。

マガジン

  • note企画

  • 人生はほふく前進

    ダメダメ話を、なんちゃってエッセイ風に…できますように!

  • 親からの愛情に飢えながら、拒絶し、しかしそれ無しに生きる事の難しさ。孤児院でのボランティア体験記を軸に我が人生を振り返る

  • フィクションの名のもとに

    フィクションです!

最近の記事

(小説)心のまま…5

「これは…1人のようでいて、2人が重なって写っているね…」 「視える」タイプの理穂が、集合写真の「和馬」を眺めてそう言った。 私から見た、写真の中で笑っている「和馬」は、例のホクロもあるし、右端の歯が1本、外を向いている。 絶対に和馬でしか無い。 しかし、主催者であるマキが言うには、 和馬の代わりに会費だけ持ってきた弟・優馬君が、集合写真に参加しているだけなのだそう。 この世に心霊写真など あり得ないと信じずにいたけど、今回ばかりはそうは言っていられ

    • 心のまま…4

      「もしもし、マナミ?同窓会で途中でいなくなったでしょう〜なんで?」 同窓会主催者のマキが 電話をかけてきてそう言うからドギマギした。 私はちょうど手元に、記念撮影の写真を持っていた。 「実はね、和馬と隣のホテルのラウンジで飲んでたんだ」 と言ったら、マキが黙り込んだ。そしてこう言った。 「え?は?和馬って、広田和馬?嘘。来なかったよ?」 「え?はこっちのセリフよ。いやいや、いたよ話したよ。何時間も話したし」 「マナミ、落ち着いて聞いて

      • 心のまま…3

        「それで?したの?しなかったの?」 理穂は、その小さな目を見開いて聞いてきた。 「ないない、ないない」 私は両手をブンブン振って否定した。 理穂の目は、またいつもの小さな目になる。その目はいつ見ても「彫刻刀でスッと傷をつけたかのような」細くて小さな目。 彫刻刀の種類は、刃を正面から見たらVのやつだ、、、 と、どうでもいいことを考えながら、コーヒーカップについた口紅を親指でぬぐった。 理穂はアイスカフェラテをストローでかき混ぜながら言った。 「でも

        • 心のまま…2

          「マナミ」 と、和馬は片手をあげて、 口の端だけで笑って近づいて来た。 「久しぶり、生きてたんだ」 私はニヤニヤしながら軽く言ったが、これはシャレにならない挨拶だ。何故って、、 「俺、死亡説出てたらしいね。海外に行ってたから、消息不明っぽかったんだろうな、はは」 2人で、笑いながらビールを飲んだ。 同窓会会場を見渡すと、みんなよく笑っているし楽しいムードに溢れている。 記念撮影をプロのカメラマンに頼んだそうで、100人揃ってかしこまって映った。 まだ解散の時間では

        マガジン

        • 2本
        • note企画
          1本
        • 人生はほふく前進
          13本
        • フィクションの名のもとに
          11本
        • 1本
        • お知らせ
          0本

        記事

          心のまま(小説)…1回

          このトシで参加する同窓会は、まるで不思議な別次元にいるような気分になる。 デパート屋上の小さな遊園地。 例えればそんな空間だ。 昔、気分を高揚させ訪れた場所。お腹の底から笑ったり泣いたり、すねて駄々をこねたりした、裸の自分がいた場所だ。 そんな場所に、昔のままのメンバーでそこに集まる。 懐かしさで盛り上がって笑い合う。心のそこから。 だが、もう遊園地の遊具では遊ばないし、心も踊るわけではない。 もうここじゃない。自分達が心踊る場所は…。 私はそんな想いを胸にひろげつ

          心のまま(小説)…1回

          ほがらかさん

          会社で化粧なおしをする際に 今困っているのはチークをポンポン叩いて 塗るタイミングです。。。 最近のチークは 頬の一番高い場所にポンポンしましょう、 と、たいがいのマニュアルに書いてあるんですよね。 「チークを入れる場所に迷ったら、にっこり笑ってみましょう。 笑った時に一番高い場所にポンポンしましょう♪」 ということで、仕上げに鏡に向かってニカッとしないといけません。 そんなタイミングに限って、ひょっこり知らない誰かが化粧室に入って来ます😅 ひっ

          ほがらかさん

          やっさんの思い出

          思い出というものは、自身の頭の中にあるが、場所にも見えないマーキングとして存在すると信じている。 新宿駅の中の南口にあるコーヒーショップ。 今はドトールになっているが、昔は違う店だった。 ただ、椅子やテーブル配置は変わらない。 その場所に、たまたま今来てコーヒーを飲んでいる。 やっさんとはほんの数ヶ月付き合った仲だった。別れ話をしたのが、ここなのだ。 お互いに相容れられない価値観があり、私たちは別れる方向で気持ちの擦り合わせをしていた。 30分くらい話しただろうか、お

          やっさんの思い出

          人生はそんなに悪くない

          ドライブ中に、ロシア料理を今度食べに行こうという話になりました。 主人「あのシチュー美味しいよね、ロシア料理の、、、ミネなんとか」 私「ミネストーネだっけ、違うね💦」 主人「ミノステリーノ?」 私「ミネストレーノ」 主人「ミネストルー……うーん何だったっけ」 私「思い出した!ミネステロール」 主人「違うって!ミネステローネだよ!」 私「あ!そっかー!ミネステローネだねーあースッキリした😊」 主人「スッキリしたね〜😊」

          人生はそんなに悪くない

          (小説)あなたは何を見たの

          1 恋人にフラれた時、ドミノ倒しの1つ目が倒れたような気がする。 あり得ない別れのセリフに、泣く泣くうなづいて帰宅したら、我が両親が離婚を決めていた。 一人娘である私が就職して自立したら、熟年離婚をする事にしていたらしい。 既に父は新しい妻候補との生活を夢見て、出せるだけの慰謝料を置いて出て行った。 母との2人の生活開始。 旧姓に戻った母と、新しいマンションを購入し、全てが新しい生活になった。 高野たか子。 私の「新しい」名前がこれだ。 タカが2つ

          (小説)あなたは何を見たの

          土筆の味

          バス停に続く遊歩道に出たら、春の草の匂いがした。ヨモギの香りだ。 思わず立ち止まり草むらを見つめてしまう。 小さな頃はみんなで、土手に這うようにして、ヨモギやノビル、そしてツクシを摘んだものだ。 ヨモギは両手に余るほど摘んで母に渡す。 母はすぐに火を通しスリコギでスって、粉と水と混ぜてお団子にしてくれたものだ。 ノビルはエシャロットみたいに、サッと茹でて酢みそで食べる。父の晩酌の友だ。 ヨモギもノビルもよく食べたけど、 ツクシは夢中になって摘んだだけで、食べていない。

          土筆の味

          好きだった人

          Facebookに毎朝、体重報告をしている。ある先輩の真似っこなのだが、 これが日課になってしまい、やめどきが分からない。とりあえず毎朝きちんと続けている。 それには、 「今朝の体重は◯kgでした!増えました…。今日は食べ過ぎないようセーブします⭐︎」 と言う風に数値を堂々と書いていたのだが、ある日を境に 「今朝も体重を計りました。BMIは23.5です⭐︎」 と、やんわりと数値を隠すようになった。 それは、昔私が一方的に片想いしていた男性と友達繋がりができたからなの

          好きだった人

          人騒がせ

          玉ねぎを薄くスライスして、水を張ったボウルに さらしておりました。 埃をかぶると嫌だから、蓋をしておき、 数時間経過した頃に、 「そろそろいいかな、 ツナと混ぜて明日の朝食べよう🎶」 と、蓋を開けたら玉ねぎの香りがプワーッとキッチン中に広がりました。 そのとき、隣の部屋でごろ寝しながらTVを観ていた主人が飛び起きて、 「ガスだ!!ガスくさい、ガスストーブ消して!窓、窓あけて!」 と、騒ぎ出したのでびっくり慌ててガスストーブは消しました。 もしやと

          人騒がせ

          こぼれたワインが知らせるいくつかの現実(4/最終回)

          マンションの玄関ドアを開けてくれた梨花子は いつもの何倍も明るい笑顔で迎えてくれた。ただ、顔色は相変わらず土気色だけど。 そしてその後ろに「旦那様」こと、私の「彼」がやって来て、 「こんばんは…」 と発した瞬間、私を凝視して目を見開いて動かなくなった。 「こんばんは〜〜♪梨花子さんにはいつもお世話になっておりま〜す♪」 と、極力、ノー天気なキャラで挨拶をする。 ある意味「修羅場のカウントダウン」のシーンだが、意外に面白がっている自分に驚く。 「これ、千

          こぼれたワインが知らせるいくつかの現実(4/最終回)

          やさしい嘘の糸

          やさしい嘘の糸で 私たちは繋がっている まるで安いドラマのようだが だけど まぎれもなく 切れずに繋がっている糸は だいぶ強い 女が吐きあう、優しい嘘は 蜘蛛の糸のように 美しくて そして 少しこわい #女 #詩

          やさしい嘘の糸

          こぼれたワインが知らせるいくつかの現実(3)

          帰り支度をしながらパソコンの電源オフ操作を終え、マウスから手を離した私に、隣の席の梨花子が言った。 「ねえ、週末に我が家に来ない?ダンナを紹介するよ」 私の顔色がくもった理由は、PCモニタの明かりがちょうどプツンと消えたせいだけではない。 (いいよ、もうダイブ知ってるから。あなたのダンナ) と、脳裏には浮かんだが…言える訳がない。 「いいね。じゃ、何か買って行くよ。ピーナツ最中が好きだったよね」 と、とっさに言ったら今度は梨花子の顔色もくも

          こぼれたワインが知らせるいくつかの現実(3)

          飛行機で移動中の一昨日、生まれて初めてのブロッケン現象に遭遇しました。 ネット検索したら、迷信で「これを見たら翌日死ぬ」とありました。 今朝の移動時の飛行機がガタガタ揺れて、死ぬのかも〜と真剣に覚悟してしまった。 実際は、けっこうラッキーな現象だと思います。

          飛行機で移動中の一昨日、生まれて初めてのブロッケン現象に遭遇しました。 ネット検索したら、迷信で「これを見たら翌日死ぬ」とありました。 今朝の移動時の飛行機がガタガタ揺れて、死ぬのかも〜と真剣に覚悟してしまった。 実際は、けっこうラッキーな現象だと思います。