心のまま…4
「もしもし、マナミ?同窓会で途中でいなくなったでしょう〜なんで?」
同窓会主催者のマキが
電話をかけてきてそう言うからドギマギした。
私はちょうど手元に、記念撮影の写真を持っていた。
「実はね、和馬と隣のホテルのラウンジで飲んでたんだ」
と言ったら、マキが黙り込んだ。そしてこう言った。
「え?は?和馬って、広田和馬?嘘。来なかったよ?」
「え?はこっちのセリフよ。いやいや、いたよ話したよ。何時間も話したし」
「マナミ、落ち着いて聞いてくれる?確かに和馬は、半年前に参加希望のハガキをくれてる。
でもね、知ってるかもしれないけど、
彼は今、アフリカで、内戦に巻き込まれて行方不明なのよ」
……マキは、何を言っているのだろう。記念撮影の集合写真にも、しっかり写っている。
私の横で、唇を右だけちょっと曲げて笑ってる。
マキの話はまだ終わらない。
「聞いてる?マナミ、それで、同窓会の受付にはね、和馬の弟さんが来て、ドタキャンじゃ申し訳無いからと、会費だけ払いに来てくれたの」
「ああ、和馬には弟いたね。優馬くんだったかな」
「そうそう。優馬くん。でね。せっかくだからお酒と料理を自由に召し上がっていって下さいって言ったのよ。その後は、あの大勢の中に紛れちゃってどうなったか知らない」
……頭の中を整理しようと目をつぶった。
確かにあれは和馬だった。歪んだ右端の歯と頬にある3つならんだ小さなホクロ。
声も、会話の内容も、和馬でしかなかった。
マキの電話を切ってから、
私は集合写真をマジマジと眺めた。
小さく写っているから、頬のホクロがよく見えない。
ルーペを持ってきて、更に眺めたら、やはりホクロが3つ縦に並んでいる…。
「これ、だんご3兄弟?」
なんて、昔ふざけて名前をつけたっけ。
こういう不思議系の話は、あの彫刻刀のキズの目をもつ理穂に聞くに限る。
早速、理穂をまたファミレスで会おうと誘った。
つづく