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敢えて余裕を持たせることで見えるもの

住む環境、働く環境など、いずれかの身の回りの環境が変われば、自身の生活におけるリズムもどこか変わってくる。


ただその大半は、やはり慣れていないというのもあって、慌ただしくなったり切羽詰まってしまうことばかりであると思う。特に朝の時間は、身支度などに手間取ってしまっては、なにかとゆとりが持てなくなってしまいがちになる。

なにより私自身も、今月から一つの環境が変わって間もない中、しばらく保ち続けていた習慣が一つ以上狂ってしまっても、決しておかしくはない状態ではあった。

にも関わらず、いったいどういった心持ちでいるのか。周りが慌ただしくせっせと支度をこなしているでろう一方で、私はドリップしたコーヒーを啜って、平然を装っている。


今まであれば、マグカップの中に適当な量を入れたインスタントコーヒーを飲み干していた。あるいは、本当に時間に余裕がない時は、コンビニやスーパー等で売られているボトル缶で済ませるというのが、それまで私がリズムを整える一環でおこなってきた、コーヒーにおけるルーティンワーク(?)であった。

加えて、自分を取り巻く環境が変わったことに伴い、起床する時間も当然早まっている。あとおよそ一時間ほど経てば、会社に出勤するため是が非でも家を出発しなければならない。

なのにこの日も朝一番から、いつも使っているマグカップの上に、コーヒーを濾過するためのドリップホルダーとフィルターをセットし、予め挽かれているコーヒー豆を加えた上に熱したお湯を注いでは、優雅にドリップの時間を楽しんでいる。


勿論、呑気に余裕をかましているつもりではない。けれど初日または第一週から、色々と張り詰めた状態のままでいては、この後の一日の疲れがより重たく感じてしまう。

緊張しているのは当然なのだが、それでも心にゆとりを持たなければならないと。何かの拍子で用意していた材料と道具を用いて、落ち着かせようとしている。

一日の始まりから、何かしらの義務感に囚われすぎた挙句、余裕のない行動が悪目立ちしては元も子もない。自分自身が緊迫した場面に置かれているからこそ、敢えて余裕のある行動に手を出すことで、この後のトラブルにも冷静に対処できる…かもしれない。


今月に入ってからまだ2、3日しか経過していないが、私は現在もなおとてつもなく圧倒されるような出来事に遭遇しっぱなしである。普通の感覚、もしくは経験の浅いままでいたら、今すぐにでも逃げ出したいぐらいの心情であったりする。

だが今は、それらを全てネガティブとして捉えず、むしろこれからどうやって一つ一つ調理しながら挽回していこうかと、密かに企んでいる。この根源が、新たに無意識に加えたコーヒーのルーティンに大きく関わっていることならば、今後も続けていく価値は大いにありそうだ。


…と、虚勢を張ってみた話というである。

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タダノツカサ
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