【小説】キリム時計塔
ああ、世界は、滅びた。
終わりを告げたのは、世界の中心に天をつくようにそびえ立つ時計塔の時計の鐘の音だった。
この世界には、時が流れる。
もはや人が一人もいなくなったこの世界にも、幾度となく朝が来て、夜が訪れた。
そしてそれを告げるのは、いつだって世界の中心の時計塔の時計の鐘の音だった。
その時計塔の最上階の部屋には、大きな縦型の織り機が存在した。
誰もいなくなった世界の、時計塔の中の部屋に、なおも機織りを続ける一人の少女がいる。
故郷の村から仕入れた、羊の毛を紡いで作られ