塚本あおい

noteは主に、僕が書いた小説のようなものを晒す場として使用しています。

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マガジン

  • Red

    赤色が出てくる、塚本あおいの自作小説。

  • 塚本あおいのショートショート

    塚本あおいの書いた記事の中から、ショートショートだけをまとめました。

  • ただの遊び(塚本あおいの二次創作)

    ただの一人遊びです。塚本あおいの記事の中から、二次創作物だけを選んでまとめました。

最近の記事

【小説】かざらの魔剣

一千年前、火山の噴火によって火口から大量の魔物が降ってきた。その混沌とした世界を、私の先祖うらら(羽羅羅)はたった一人で救った。全て斬り殺したのではなく、魔剣から繰り出せる魔法を使って、再び魔物を火山に封じたのだ。そして、今は平和となったこの世界でもなお伝えられ続けている彼女の魔剣は、今は何のためにあるのだろう? この魔剣で私にできることは何だろうか? 私の名前はかざら(風羅)。らら族の末裔で十九歳の女子。うちに代々伝わる伝説の魔剣を手に、自分には何ができるか模索の旅をして

    • 【小説】ルナテラ伝説

      世界の風と雨を操っている、伝説の双子の兄弟が存在する。 名は兄をルナ、弟をテラといい、ラテン語でそれぞれ月と地球という意味である。 彼らは今も、小さな木造の空を飛ぶ船で、全世界を旅して回っている。自分らの使命を果たすためだ。   「僕たちは、いつまでも父さんに甘えていたかった。だけど、父さんは自分の力の一切を僕とテラに分け与えると、逝ってしまった。」   幼い頃は、テラは雨を操ることができなかった。テラが激しく泣いたり笑ったりすると自分を中心とした広範囲で雨が降った。逆に平静

      • 清く、

        死なんてない。 あるけど、死んだ後に行くというあの世なんてない。 あの世ってのは、おれたちが元々いた場所だ。   官人『ご入学おめでとうございます。誕生ガイダンスへようこそ。皆さんは、まだ生まれていません。これから、命を配布します。一人ひとつ取って、後ろの列に回してください。最後列の人は余りを回収に行くまで持っていてください。 全員に渡りましたか。 さて、いま皆さんに配布した命は、この先、皆さんがずっと持っているものです。絶対に失くさないでください。 これから、書類を提出して

        • エリスの家

          今より遥かな過去か未来かどちらかの世界に、人の住まない、だだ広い草原がありました。 草原の端は崖になっており、そこに橋が架けられ、向かいの草原の端とつながるようになっていました。 この崖を、縄ばしごか何かを垂らして降りていったところに、一軒の粗末な家が建っているのですが、何しろ危険な崖ですし、誰もここを通りませんから、普通の人は誰一人その家の存在を知りません。 知っていたのは、この家に住む魔女とその夫と、この草原に修行にやってきた一人の僧侶だけでした。        ◇  

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          13本
        • 塚本あおいのショートショート
          20本
        • ただの遊び(塚本あおいの二次創作)
          7本

        記事

          由真(続)

          ユマが久しぶりに、自分のいた小さな無人島に戻ると、もぐらは島の地下に人間の大人が三人入れるほどの広さの空間を作って待っていた。いつかユマが帰ってきた時のために、ユマの部屋をこしらえたのだった。部屋といっても、もちろん家具は何もない。ただ土の壁と床に囲まれた洞穴のような空間でしかない。ユマはその空間を見ると苦笑して、もぐらにこう語りかけた。 「私の部屋を作って待っていてくれたのはありがとう。でもね、私はまだ旅を終わりにはしないの。この間、とある街でこんな噂を聞いたんだ。 ルビ

          【二次創作小説】 罪と動物の森

          罪を犯した。タクシーを捕まえて逃亡する。 あたしは運転手に、「どこか人里離れたところへ。とにかく遠くへ!」と頼み込んだ。カッパのような頭の運転手はそれを了承し、アクセルを踏んだ。 さっきより強くなった雨が降る中、タクシーは町をはずれて森の中に入っていった。それからどこまでも深くに入っていく。なんか、重厚な門みたいなのをくぐった気もするけど……こうしてどのくらい走った頃だろうか、タクシーはどこかの広場に着いた。ちょうど、雨が上がった。 「ほれ、着いたぞ。」 「ここはどこです

          【二次創作小説】 罪と動物の森

          りいちゃんと僕

          りいちゃんはシルバニア村から僕のとこにやってきた。 その村には、成長した子供を売りに出す風習があった。その日、りいちゃんは秋田のショッピングモールで売られていたところを、主人となる僕に買い取られた。 周りにも、同じシルバニア村からの同胞で、いい人に買ってもらおうと真剣におめかしして一番良い服を着ている子たちがいたけど、僕に買われたのは最も化粧っ気がなく、そしてシンプルな青いワンピースを着ていたりいちゃんだった。 「名前は?」 「ポーリーン。村ではみんなから『リーちゃん』っ

          りいちゃんと僕

          【空想】イデン /キャラ設定

          ダイーラ(ユニジ・ダイーラ)母ライラのあとを継いでクレブ城に勤務する26歳女兵士。通勤はライラの送迎で。ダイーラは朝9時に出勤するとまず、ロッカーで甲冑に着替える。業務はまず、全体での朝礼と朝の剣の稽古から始まる。それが終わると各自、城内を警備する業務にあたる。12時から、60分間の休憩。休憩室で、持参している弁当を食べ、同僚のシグルと談笑するなどする。午後の業務も警備が主である。17時まで仕事をして、終わると私服に着替えてまたライラの運転で帰ってくる。 帰ってくると、家に

          【空想】イデン /キャラ設定

          旅路【FFⅢ二次創作】

          年中強い風の吹く大陸、ダルグ。その大陸には、偉大な魔導師ノアが、人間としてはたった一人で住んでいた。彼の住居(ノアの館)以外に建物はなく、彼の館のある辺りは、険しい山々に囲まれた盆地の地形をしていた。 シーザはノアの館で育った。物心ついた時、母も父もいなかった。以前、ノアが各地方を回った時、ある村で、赤ん坊のシーザをノアに預けてきた女性がいた。ノアはシーザを連れ帰り、その後自分の屋敷にて養育した。二歳になるまで面倒を見ていたが、ノアは死に、その後はノアに仕えていた十三匹のモー

          旅路【FFⅢ二次創作】

          つばさ物語

          つばさと呼ばれるその人は、二百年もの間、屋敷の門を守っていました。屋敷には時折旅人が訪れましたが、誰も入れてはいけないとの命令だったので、その人は来る日も来る日も、人を追い払い続けました。寒さもいっそう増しましたある時、主人が外出するというので、門をお開けになると、つばさに、「今日からお前も、屋敷の中で暖をとると良い。」とお告げになられて、つばさは、それで初めて、屋敷の中に入れてもらいました。しかしつばさは、ああ、もし私が門の前に立っていない時に旅人がやってきたら、一体どうし

          【掌編小説】カルーセル

          その少女には名前がない。ある年の冬の初め、とある遊園地で奴隷商人の男によって売りに出されていた子供の奴隷である。商人の目の前で、奴隷は声を出すことも許されない。人間らしく言葉を話すと、むちで打たれるのだ。下着さえ身につけさせてもらえずに、薄いワンピース一枚で毎日、通行人にとっての見世物として路上に長時間座らせられていた。 大人の女である『わたし』はその日、この遊園地を訪れた。遊ぶ人たちの賑やかな声がする中、ただ一人暗い顔をした『わたし』は奴隷商人の前を通りかかり、ふとこの商

          【掌編小説】カルーセル

          【二次創作小説】ピク星の刹那

          ピク星はこの銀河の無数の星々の中の一つ。人の住まない小さな星であり、表面は岩石で、この星に降り立つと一面灰色の景色のみが広がる。 ピク星と呼ばれる所以はピクという魔物がここに棲んでいたからだ。全長五メートルほどの赤黒い流動体のような魔物で、周辺の星に被害を出すため、周辺の宇宙人たちは大いに困っているとのことだった。 そこでピクを退治するよう依頼を受けたわたしがこの星に一人でやってきた。ピクは人の顔を狙い、その頭部を喰らおうとする。流動体なので物理攻撃が効かず、叩いても切って

          【二次創作小説】ピク星の刹那

          【小説】シーザの旅路

          元薬学者の男シーザは故郷の島を追われて本土の田舎町にある老女ネニコの家を終の住処に決めたわけではあるが、そのネニコの家にネニコも、シーザも居なかった期間が一年あまりある。 それはシーザがネニコの家に来て五年目の春。ネニコは六十八歳、シーザは三十三歳になっていた。 「ねえ……シーザさん。わたし、あなたを描くのもう何回目かしら? あなたはモチーフとしてとても美しいんだけど、なんか最近、もう少し何か刺激がほしいの。わたし、何か心躍る別のモチーフを探しに一人で旅に出るわ。」 そ

          【小説】シーザの旅路

          【小説】オリキノ

          暗闇の無人ホームに、記憶をなくした少女が一人立ちすくんでいた。 ここがどこかも、自分の名前も、家への帰りかたもわからない。ただ一つその手に持っていたのが、グレーのカバーに包まれた一冊のノートだった。厚めでB6ほどのサイズで、表紙をめくると鉛筆かシャーペンかの筆跡で「うたのしょ」とだけ書かれた頁がまず出現する。きっとこれがこのノートの名前なのだろう。ノートの中身は、全体の半分ほどまでびっしりと書かれた様々な歌の歌詞だった。頁の上のほうには作詞作曲者の名前もそれぞれに明記されてい

          【小説】オリキノ

          メオの詩

          6月28日 深夜 暗い部屋 ひとつのベッドの上に ふたり 仰向けに横になるわたしに あなたは覆いかぶさるようにして わたしの体を押さえつけていた 全身に移ってきたあなたの熱は、熱かった それはいままで感じたことのない、熱い、熱い、とても大切で泣きそうな、想いだった 全身で愛を伝えてくれた わたしの心は宇宙にいた あなたの瞳は地球だった わたしは宇宙からあなたの地球を 眺め 愛し 守りたいと思った あなたは言った きみの苦手なものは、とても小さく

          【小説】リトの世界

          【小説】リトの世界