デザインのひきだし創刊50号記念!驚異の10色刷り!明晃印刷多色活版刷り×ツジカワ活版印刷用版
先日販売されたデザインのひきだし創刊50号記念特別号。
「あなたの会社の一番得意な印刷加工を教えてください!」というテーマのもと、印刷を取り巻く様々な会社の印刷物が掲載されていました。
まさに創刊50号にふさわしい「現代日本の印刷加工大全」となったと思います。
今回ツジカワは数社に版を提供させていただきましたが、各社すばらしい仕上がりのページでした!
今回はツジカワが活版印刷用版を提供いたしました、「明晃印刷株式会社」様の作品を取り上げます!
明晃印刷株式会社様について
明晃印刷様は大阪市福島区にある活版印刷専門の印刷会社です。
活版印刷を駆使したオリジナル名刺やフライヤーなど、幅広い製品を手掛けており、デザインから提案いただくことも可能です。
明晃印刷様のインスタグラム( @letterpress_meiko)で数々のお仕事を見られますのでこちらも是非チェックしてください!
明晃印刷様には弊社の行動指針である「道しるべ」のデザインと印刷をお願いしたこともあり、困ったことがあれば色々とご相談に乗っていただける存在です。
デザインのひきだし掲載作品
そんな明晃印刷様がデザインのひきだし50に掲載された作品がこちらです!
ばばん!!
はい、せーの!かーわーいーい~~❢❢❢
(※筆者30代後半)
しかし加工内容は全然「カワイク」ないんです。
なぜならこちらの作品、活版印刷では異色の10色刷りです!
しかもトンボの空押しがあるので使用された版は11版!!
つまり、この1枚の作品が出来上がるまでに11回の印刷工程があるのです。
今回グラフィック社への提出部数は1万4000枚とお伺いしています。
1枚につき11回印刷ということは、単純計算で14,000×11=154,000回刷ったということでしょうか。
トムとジェ◯ーばりに目玉がびよーんとなりそうな数字です
高崎社長に実際の部数を確認したところ、「ミスしたり予備の分も作ったから1万5000枚は刷った」とのこと。
15,000×11=165,000回通しでした。
でもそうは言っても印刷ってインクと紙をセットするだけじゃないの?そんなに大変?と思われる方もいるかも知れません。
「活版印刷は通常の印刷機と比べて手間がかかるもの」というイメージはなんとなくみんな持っていると思うのですが、実際のところどれぐらい大変なの?と不思議になりますよね。
手のかかる子(約70歳)
明晃印刷様ではハイデルベルグのプラテンというドイツ製の機械を使用されています。約70年前の機械とのことですが、今でも現役バリバリで活躍中です。
通常は名刺やハガキサイズの印刷に用いられるため、今回のようにB5サイズでの印刷はほとんど初めての試みだったようです。
仕組みとしては、「凸版にインキをつけて紙を押し当て、絵柄を転写する」という単純な仕組みですが、年季の入った機械だけに、非常にアナログな機構なため位置ずれを起こしやすいのです。
印刷中は、つきっきりで給紙のタイミングを調整したり、大きな位置ずれを起こしていないか確認したりと、基本的に機械の前を動くことができません。また、今回の作品は多色刷りのなので1色刷り終わるごとにブランケットの掃除、版の付替え、セッティング、試し刷り等の工程を繰り返すことになります。
手がかかる印刷機ではありますが、やはりこの印刷機でなければ出せない味や表現があり、それを引き出せる技術力があるからこそ、多くのお客様に明晃印刷様が選ばれているのだと思います。
たかがトンボ、されどトンボ
それをふまえて「今回の印刷ってどれぐらい時間かかったんですか?」
と聞いてみると、
「最初のトンボの空押しだけで3日間かかった」
との回答が返ってきました。
み・・・3日!?
通常トンボは版の天地左右に配置され、印刷時の位置あわせの基準となります。トンボはすべての版についているため、多色刷りの場合トンボ部は色が重なり少し汚く見えてしまいます。
通常ならば仕上がりでカットされる部分なので問題ないのですが、
今回はB5サイズ紙での提出だったため、トンボも含めた印刷物を提出する必要がありました。
そこで空押しされたトンボにそれぞれの色が重なるようにすることで、美しく、かつどんな色を使用しているかがわかりやすいように気を配られました。しかし結果としては1版分印刷工程が増えることに・・・
プロフェッショナル
トンボを押した時点で3日かかった高崎社長。
残り10色刷るためには単純計算で1ヶ月かかると判明。
しかしそれだと絶対納期には間に合わない。
「途中の提出でもいいですよ。印刷工程がわかっておもしろいんじゃないですか?」という提案はあったものの
「あかん プロとして中途半端なことはできん 徹夜してもやり切る。」
と腹をくくりお盆も徹夜して1万5000枚もの部数を1人で刷りきりました。
「うわ、きつーー!!」とひねりのない感想を述べたところ、
「すべてこれからの俺の作品は遺作や。俺がおらんよ―になってもずっと残るんよ。
だから恥ずかしい事はできへんねん。限界を超えんとあかんのよ」
と、返されました。
今、流れたでしょう、あなたの脳内にもスガシカオが。
そんなドラマのつまった明晃印刷様の作品も収録されている「デザインのひきだし50」ぜひともお買い求めください。
お手元にある方はぜひじっくりご覧になってくださいねー!