時を超えて語り掛ける伝統工芸作品: 平取町立二風谷アイヌ文化博物館
館の所在地域
平取町立二風谷アイヌ文化博物館は、北海道日高振興局管内の沙流郡平取町に位置します。
二風谷は、自然豊かな沙流川流域に位置し、冬季も積雪が少なく過ごしや易い環境です。旧石器時代には既に人類が生活しており、「カンカン2遺跡」「二風谷遺跡」等、先史時代から中近世に至る迄の文化遺産も多く所在します。また、奥州から逃れた源義経が居館を構え、アイヌの人々から神として慕われたという伝説も残されています。
現在、平取町では農業が盛んで、びらとり和牛、ニシパの恋人(トマト)等のブランドが有名です。
館の沿革
同館は、国重要有形民俗文化財「北海道二風谷及び周辺地域の生活用具コレクション」(通称「萱野茂収集資料」)を中心として、平成4年に開館した歴史民俗博物館です。昭和47年、北海道ウタリ協会(現・北海道アイヌ協会)は、萱野コレクション活用を目的に二風谷アイヌ民族資料館を設立しましたが、5年後の同52年に閉館となりました。その後、平成初期に至り、アイヌに関する文化遺産の保存・継承を求める機運が高まったことが、同館設立のきっかけです。
館内の展示は、「人々の暮らし」「神々のロマン」「大地のめぐみ」「造形の伝承」の4つのコーナーに分かれており、萱野コレクションをはじめとするアイヌ文化関連資料が展示されています。また、実物資料のみならず、図書資料や映像資料等も多く収集・所蔵されていることも特徴です。
館の概要
同館は、国指定重要文化的景観「アイヌの伝統と近代の開拓による沙流川流域の文化的景観」の一角を占める、復元チセ(アイヌの住居)群の核となる博物館施設として運営されています。チセ内では、経済産業大臣指定伝統的工芸品である「二風谷イタ」や「二風谷アットゥシ」の制作が職人の手により実演されています。これらの作品は、隣接する平取町アイヌ文化情報センターにおいて購入することが可能です。
敷地内では、季節毎にアイヌの伝統的な祭典が執り行われており、アイヌ文化の継承を図る上で重要な場となっています。
施設情報
館名: 平取町立二風谷アイヌ文化博物館 (Nibutani Ainu Culture Museum)
住所: 〒055-0101 北海道沙流郡平取町二風谷55番地
URL: http://www.town.biratori.hokkaido.jp/biratori/nibutani/
公共交通機関: 道南バス 資料館前停留所より約300m
※訪問の際は最新の情報をお調べの上お出かけください。
参考文献
辻󠄀 博仁「平取町立二風谷アイヌ文化博物館」(國學院大學博物館学研究室編『野外博物館事典 平成30年度中間報告』國學院大學博物館学研究室、平成31年、6頁)