169回芥川賞受賞作をガチで予想する
〈追記〉
7/19(水)夕方に169回芥川賞が発表されました。
芥川賞は市川沙央さんの『ハンチバック』!!
おめでとうございます!!🎉🎉
***
168回から始めた趣味「芥川賞受賞作を予想する」。
今回は候補作5作品全て読めたので、noteに講評をまとめて、ガチで予想してみようと思います!!
まずは各書の講評!その後、予想を載せています。
*読了した順です。他意はありません。
① ハンチバック/ 市川沙央
〈講評〉
重度の障害を抱えながら生きる釈華の物語。私たちが見えていなかった、もしくは無視し続けた角度からの言葉のパンチが強くって、脳天を何度も揺らされました。まさにサンドバッグ状態です。テーマ性は抜群で、反論したくもなってしまうこの作風は、読者を議論の場に巻き込むことに一役買っています。時折見せるユーモアは、この濃い物語を希釈してくれていると感じました。憎しみや怒りだけに任せず、読者に聞いてもらうための文章に仕上げた、著者の冷静さが垣間見えます。問題のラストが、審査員の方々にどう捉えられるのかが争点になりそう(私は好意的に捉えました)。
② エレクトリック/ 千葉雅也
〈講評〉
千葉雅也さんの書く小説を初めて読んだのですが、すごく技巧の凝らされた純文学に仕上がっていて、天は二物も三物もこの人に与えたなんだなぁ、って思いました。「エレクトリック」という表題の言葉が、幾重にも意味を持つ構成が凄すぎました。たぶん千葉さん自身もこの物語の解に辿り着いておらず、物語の中でずっと哲学しているように思えました(私は『存在の哲学』と捉えました)。ある意味で迂遠的なその複雑さが、どう評価されるのか。
③ それは誠/ 乗代雄介
〈講評〉
高校生の男子4人が修学旅行を抜け出して、誠の叔父さんへ会いにいく青春冒険活劇。乗代さんの集大成と言ってもいいような作品で、帯の「最高傑作」は間違いではないと思いました。読後にはジーンと心に残るものがあって、でも何が? と訊かれても、明確にそれを想起させない構成と技巧が流石すぎました。一部では、純文学というよりエンタメ寄りでは? とも言われているようで、審査員の方々がどう評するのかに注目したいです。
④ 我が手の太陽/ 石田夏穂
〈講評〉
『我が友スミス』の石田夏穂さんの新境地。いつものユーモアを封印した文体からは、溶接工の元エースの伊東の、スランプへの焦りや憤りがひしひしと感じられました。読んでいると、おい伊東!って思う場面もあるのですが、それでもなぜか共感できてしまうのは、石田さんの筆力に寄るところ。読者を突き放すように、溶接の専門用語をバンバン飛ばしてくる本作ですが、それがプロの専門性と、溶接の熱を感じさせてくれます。題材は「仕事」でありながら、内在するテーマは様々な事柄に汎化可能。砂川文次さんのブラックボックスとは似て非なるお仕事小説と思っていますが、さてどうなるか。
⑤ ##NAME##/ 児玉雨子
〈講評〉
こう書くと何様だよ!って思われそうですが、想像以上にとっても良かったです…。ジュニアアイドルとして活動していた過去は、現代では『児童ポルノ』と言われてしまうような過去。そんな過去が、“名前”にいつまでも引っ付いて離れず、ずっと主人公を追い回す、というストーリー。名前の空欄を示す【##NAME##】というタイトルが、ラストに効果的に働いていて、読後はじんわり爽やかな気分になりました。作詞家さんということもあって、やや詩的な文体がどのように評価されるのかが楽しみです。個人的には児玉さんの著書を、もっと読んでみたいと思えました。
私の受賞予想
私の予想は……『それは誠』です!!!
理由は、うまい。うますぎた。小説に、うまいとか思っちゃダメなのかもしれないけれど、技巧が光った。もともと乗代さんが好きというのはあるけれど、忖度抜きにしても『それは誠』がいくんじゃないかと思ってます。『旅する練習』を初めて読んだ時を超えるような高揚感が、この本にはありました。個人的には「なんでよかったの?」と聞かれても、うまく答えられない小説がよい小説だと思っていて、『それは誠』がそれでした。
次点は『エレクトリック』
大穴は『ハンチバック』
この2作も、ほかの作品もすごい良かったし、正直めっちゃ語りたい…。どの作品が芥川賞を獲っても納得できる。
でもそんなことを言ったら、どれが受賞しても正解!ってなっちゃいそうなので、私は『それは誠』一択でいきます!!
ちなみに乗代さんのファンでもあるので、乗代さんが芥川賞獲ってくれたら、ほんとに嬉しい…!!(予想はフェアにしています)
選評会と発表は、明日7/19(水)夕方!!
そんな日に勉強会を入れてしまうミス!!😂
読書好きの皆さん!7/19(水)を楽しみましょう〜!☺️
それでは!
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