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間違いだらけの顧客中心主義(5)〜「顧客紹介価値」について

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皆さんこんにちは。通販エキスパート協会事務局です。
当協会は文字通り「通販のエキスパート」を目指す方々に向けた資格「通販エキスパート検定」を実施しています。

前回投稿で、「NPSと顧客中心主義、LTV」との関係についてお話をしました。その際、LTV:顧客生涯価値による顧客評価の際、その顧客から紹介を受けた顧客のLTVの合算して評価する「顧客紹介価値」という概念があることを紹介しました。

今回はこの「顧客紹介価値」について掘り下げてみたいと思います。この概念を私が初めて見たのはHBR(https://www.dhbr.net/)2008年11月号の掲載論文「顧客『紹介』価値のマーケティング〜生涯価値だけで、顧客の価値は測定できない」でした

まず、通販業界では紹介顧客のLTVが高いことが経験的に把握されていたので、本人のLTVに紹介顧客のLTVを合算して評価をする、という考え方自体は真新しいものでは有りません。

しかし、この論文では、さらに踏み込んだ分析として、最初に、紹介意向があると答えた顧客が一定期間後に本当に別な誰かに紹介したかどうかと、次に紹介された顧客がどの程度の利益を新たに会社にもたらしたかを、ある会社をサンプルに調査しました。

その上で、紹介者のLTVと紹介された顧客のLTVを合算したらどうなるか、ということを計算したのです。
方法としては、まずある一定期間内の実績LTVで顧客を上位から10%ずつ10段階に分類します。その上で、それぞれに分類された顧客が紹介した顧客のLTVをある一定期間測定し、合算する、というやり方をしています。10段階に分けているのは、それぞれの段階ごとの平均値を出せば、比較しやすいからです。

実際は、紹介された顧客もいずれ別の誰かを紹介するかもしれないし、
最初に10段階で分類した顧客も、誰かの紹介顧客であるかもしれませんが、
いったんはシンプルに計算してみましょう。何だったらLTVではなく、累計売上でも最初は良いかもしれません。

この論文では、計算の結果、現段階でLTVが10段階で最上位にいる顧客よりも、中位層の顧客の方が紹介顧客のLTVが高い(より活発に顧客を紹介している、あるいは紹介顧客の質が良い)という結果が出ました。

面白いのはこの部分です。もし自社顧客セグメンテーションを行い、それに基づいて各種顧客体験設計や投資配分決定しようとした場合、収益性の指標がLTVのみ場合と、紹介顧客のLTVを合算した場合とで、結論が変わる(より重視すべき顧客層が異なる)可能性がある、ということです。

これは、可能ならぜひ自社顧客で計算されてみてはいかがでしょうか。最初は先に述べたように、LTVではなく、単純な売上合算でも良いかもしれません。基本的に紹介された顧客はCRMシステム上で紹介顧客と紐付いているはずなので、自社の場合、本人とその紹介顧客の合算でパフォーマンス評価をしたらどうなるのかを確認してみましょう。

このデータを元に、現行の紹介キャンペーンや、自社顧客セグメンテーションの見直しなどを行えば、今とは違う規顧客獲得〜既存顧客育成のカスタマージャーニーマップが描けるかもしれません。


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