こんど小笠原へ行くときには
3年前。
わたしは長男と2人で旅に出た。
行き先は
小笠原諸島の父島。
竹芝港から船で24時間、帰りもまた24時間。
びっくりだが、
飛行場がないから行く手段は船だけなのだ。
さらに
行きの船は週に1便で帰りも週に1便。
出かけたら1週間は帰れない(帰る手段がない)旅だ。
父島は東京都の一部だが
竹芝からは約1000km離れている。
沖縄と同じくらいの緯度にあり
年中半袖でもなんとかなるくらい。
(冬はさすがに半袖だとちょこっと寒い。)
世界自然遺産の島として知られ、
美しい海にはクジラも来る。
美しい自然とは裏腹に
島のあちこちには戦跡が残されている。
少し離れた硫黄島とともに
悲しい歴史を身近に感じる島だ。
父島には
長男がお世話になった先生が暮らしていて、
よぉし!2人で会いに行こう!
という旅だった。
当時大学生だった長男との
1週間に渡る2人旅は、
わたしにとって
(たぶん長男にとっても)
忘れられないひととき
忘れられない旅になった。
帰りの船が出るときには
島のひとたちが
いってらっしゃーーい
いってらっしゃーーーい
と見送ってくれた。
その光景が
いつまでも
いつまでも
忘れられない。
そして今年
またわたしは小笠原へ行く。
今度は次男と2人旅だ。
ええーーーっ、1週間もかよーーー
と言う次男を、
なんとかかんとか言って説得。
船には乗りたくないよーーー
と言うのを、
おすすめの酔い止めがあるから大丈夫!
と励ます。
ちなみに
船旅で大海原に出てしまうと
道中は全く電波が入らない。
スマホに頼りっきりの生活から解放されて
なにをして過ごそうか。
わたしは楽しみだが
次男にとってはどうだろう。
チケットも買った。
宿も確保。
あとは出発の日を待つだけ。
ただいまー
と言って
島へ行こう。
3年前、
船が小笠原を出る前に
港の待合所で
「ご自由にお持ちください」
と書かれた本棚を見つけた。
1冊選び
帰りの船で読んだ。
そして思った。
こんど小笠原へ行くときは
あの本棚に
わたしも何冊か置いてこよう
と。
さぁ
なんの本を持っていこうか。