早期リタイアと労働観、パーフェクトデイズ

FIREなどの言葉が一時期ブームになって、もしかしたら自分もできるかもと思える環境が整ったからもあると思う。

一方で、「お金の向こうに人がいる」という感覚とか想像力を持つ機会が、著しく少なくなっているのではないかと仮説を持った。
下記の本は、問題を解決しているのは、お金自体ではなく他者の労働、すなわち人間であることを、強調した著書である。もっと読むと、わたしたちを支えている原初自然からの贈与への想像力をも要求する本だ。
労働をして、誰の役に立っているかとか、誰を助けているのか、その具体的な相手や自然との接点が、とても間接化しているので、働くことと貢献感や贈与を受けている感覚が結びついていない気がする。消費者としても、社会を誰が支えているのかへの想像力がないと、「カスハラ」が横行してくる。

映画「PERFECT DAYS」では、役所広司演じる平山さんが、トイレ掃除を通じて、ほんとうに小さくても、確実に手触りのある感覚を持ちながら、この世界や社会の片隅に影響を与えているように描かれている。
トイレ掃除というルーティンで自分の心が落ち着くのを感じ、間違いなく他社の身体に関わっていることを実感する。

必要なのは、こういった労働による実感を持った社会との関わりへの想像力を持てる、社会的な機能や機会を創出することではないかと思える。
金融教育をするといったことは大変いいことだと思うが、根本は何によって支えられているかへ想像力を必要とする学習であることを共通認識にした方がいいと思う。

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