今週の書評欄 20241110週
今週分の、日経、読売などの5大紙の書評欄から。
●西洋の敗北
これはおもしろそう。
西洋のような普遍的で一般性を要求する国家とロシアなどの普遍化に抗う特殊性を要求する国家の対立を論じているようだ。
著者は家族の形、核家族、直系家族、複合家族という形態と文明の形には密接に関連があると主張しているが、本書も家族や宗教、政治経済が国家の無意識的に下支えしている影響を分析しているとのこと。
特に、啓蒙時代から急速に宗教の影響力が削がれ、超越がこの世界の論理から姿を消し始めて久しい。すべてが個人化して、神はなく、無の上に実存が不安定に乗っている状態になっている。この超越や絶対の役割は、もう人間はあきらめて生きていくか、もしくは生成AIなどが超越として関係を結んだりするだろうか。家族という形態ですら、割と煩わしい関係と感じる人も結構増えているのではないかとも思える現象がけっこう見られている。
普遍か特殊かの争いの続きはどうなるか楽しみである。
●80歳、まだ走れる
高齢化する社会において、生き方の参考になるかもしれない。さまざまな背景のシニアランナーたちを取材して書いている本。
人はいつまで走れるか?ひいてはいつまで健康に生きれるか?
評者は「歳をとるから遊ばなくなるのではなく、遊ばなくなるから歳をとるのだ」というドイツの哲学者の言葉を引用している。
健康寿命は今後大きな課題になるテーマだろう。競技を通じて、自ら遊ぶこと。これが重要になるかもしれない。
●ワンルームワンダーランド
たまに読みたくなる、他人の部屋をのぞきながらのエッセイ集。都築響一の本も思い出して、ひさしぶりにめくりたくなった書評だった。
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