48才が3ヶ月で体脂肪率を7%落とすまでパート2:コロナ太りからいかに脱却するか
コロナ太り
前回のダイエットnoteを書いてから続編を書くまでの間に、恐ろしい出来事が発生してしまった。それは新型コロナウイルスのことだ。2月後半には日本でも感染者数が増加し始め、4月7日には緊急事態宣言が出された。それに伴い、多くの企業がリモートワークを導入し始め、またジムも一時休業を余儀なくされたことから、多くのビジネスパーソンが運動不足に陥り、体重増加を自覚し始めた。いわゆる「コロナ太り」だ。
リモートワークでの気付きや学びについてはこちらにまとめてあるので併せて読んでいただければ。
コロナ太りをどうやって解消すればいいのか?
前回の「48才が3ヶ月で体脂肪率を7%落とすまで」では主に以下の3点について書いた。
1. 自分を太らせている真犯人はインシュリンだ
2. 16時間以上の断食(インターミッテントファスティング)をやろう
3. 朝ごはんの代わりにコーヒーにギーとMCTオイルを入れて飲もう
上記3点を理解しアクションを取って痩せたのに、自粛期間中に再び太ってしまったという人もいるかもしれない。今回はそんな皆さんのために、ダイエットの究極中の究極のテクニックをお伝えしたい。それはミトコンドリアを鍛える方法だ。「ミトコンドリアってなんだっけ?」 - 多くの方が今そう思ったことだと思う。そんな皆さんもこのnoteを読み終わった頃には、きっとミトコンドリアのことが愛おしくなり、ミトコンドリアマニアになっていることだと思う。そのくらい、ダイエットにはミトコンドリアの力が欠かせないのだ。
ミトコンドリア?ミドリムシ?
ミトコンドリアを鍛える話をする前に、ミトコンドリアが何者なのか理解しよう。ミトコンドリアの話をすると、大抵「あーあの緑のやつね」と間違われる。が、それはミドリムシだ。どっちも小さいことに違いはないが、ミトコンドリアは私たちの細胞の中にある小さな小さな器官だ。どれくらい小さいかというとミドリムシは0.1mmほどの大きさだが、ミトコンドリアは0.5µm、つまりミトコンドリアはミドリムシの200分の1の大きさということになる。下の図は僕たちの細胞とミトコンドリアの拡大図だ。ちなみにミドリムシの中にもミトコンドリアが存在している。
こんなに小さいヤツなのに、コイツが僕らの生命を維持している。前回も少し触れたが、私たちの細胞の中には200から1000個程度のミトコンドリアが存在する。重さでいうとなんと体重の10%を占めている。これって結構驚きじゃないですか?体重の10%ですよ!それだけこの小さな小さなパーツが僕たちにとって必要不可欠な存在で、かつ身体中に分布しているということ。なぜ必要不可欠なのかというと、ミトコンドリアが僕たちが生きる上で必要なエネルギーの素、ATP(アデノシン三リン酸)をその内部にあるクエン酸回路(TCA回路、ATP回路とも呼ばれる)上で生成しているからだ。
ATPというのは三リン酸という名前の通り、リン酸が3つくっついている。このリン酸のうち、一つが離れる時(ATP→ADP + Pi)にエネルギーが生まれ、このエネルギーを使って僕たちは臓器を動かし、神経で感覚を伝達しているのだ。なので文字通り、ATPが生成できないと全ての感覚を失い、血液も送れず、呼吸もできず、死んでしまうのだ。このエネルギー利用の仕組みは人間のみならず、あらゆる動物、植物、先に挙げたミドリムシのような鞭毛虫や細菌まで、全ての真核生物で同じである。まさに生命の基本と言っていい。
僕たちは普通に暮らしていても1日に50kg程のATPを消費している。そんなに消費しちゃうとATPがなくなっちゃうんじゃないのと思うかもしれないが、実は体の中では、ADPからATPの再生産が繰り返し行われ、毎秒600個のATPを生産している。
実際僕たちがなぜ食べるのかというと、究極的にはATPを作るためとも言える。僕たちが食べたものはパン(糖質)でも牛肉(タンパク質)でもオリーブオイル(脂肪)でも、最終的にはアセチルCoAという物質に分解される。これがミトコンドリアの中に運ばれ、その中のクエン酸回路で最終的には二酸化炭素に分解され、その過程でATPが生成される。その生産の仕方は驚愕で、ATP合成酵素というミトコンドリアの膜に埋まっているパーツが、1分間に1万回転と自動車のエンジンよりも速くグルグル回って(世界最小の分子モーターと言われる)ATPを生産(合成)し続けている。
ミトコンドリアのパフォーマンスが上がると痩せる
話をダイエットに引き戻そう。エネルギー通貨であるATPを多く作ることができるということは、すなわちその原材料の一部である糖質や脂肪を効率的に分解できるということだ。つまりそれはより早く効率的に痩せられることを意味する。なので痩せたければミトコンドリアのパフォーマンスを上げることが重要なのだ。もっというと、ダイエットとは「ミトコンドリアのパフォーマンスを上げる」ことと同義とも言える。
コラム:ミトコンドリア のDNAは細胞核にあるDNAとは違う
通常の細胞核にあるDNAはお父さんから半分、お母さんから半分受け継いでいるというのはよく知られた話だ。しかしながらミトコンドリアのDNAはお母さんからしか受け継がれない。つまりお母さんの代謝能力が代々子どもに受け継がれていくということになる。自分のお母さんは太っているか?これは自分の代謝能力を知る一つの目安になる。ちなみに私の母は太っている。なので自分もほって置くと確実に太るだろう。なぜミトコンドリアのDNAは細胞核のDNAと異なるのか?それについては長くなるので(そしてダイエットとは離れた話になるので)また別のnoteでまとめようと思う。
どうすればミトコンドリアのパフォーマンスは上がるのか?
人間がどのようなものを摂取しても最終的に人間のエネルギー源ATPを生成するミトコンドリア。それくらいミトコンドリアは人間に欠かせないものだ。なのにミドリムシと間違われるミトコンドリアの存在の耐えられない軽さは不憫でならないが、そこは彼らのパフォーマンスを上げてあげることでその御恩に報いるとしよう。
どうすればミトコンドリアのパフォーマンスは上がるのか?
一つの方法は、ミトコンドリアを酸素の少ない環境におくことだ。低酸素下におかれると、細胞は危機モードに入り、ミトコンドリアに二つの現象が発現する。一つはミトファジーで、もう一つが生産性の向上だ。
実はミトコンドリアにも個性があり、常に全てのミトコンドリアが最高のパフォーマンスを叩き出している訳ではないことが分かっている。中にはATP生産能力の低い、いわばサボるミトコンドリアも存在する。なんと人間くさいことか(というか人間の構成要素の一つがミトコンドリアなのであれば、人間が"ミトコンドリアくさい"のかもしれない)。
そういうサボりなミトコンドリアがミトファジー(オートファジーを介したミトコンドリアの選択的分解機構のこと)によって分解され、新しく元気なミトコンドリアが生産されるようになる。
そして既存のミトコンドリアも生産性を上げて通常の酸素濃度下以上に働くようになる。なぜなら、酸素が少ないからといってATPを少量しか作らないのでは、自分(ミトコンドリア)の住処である人間が死んでしまうからだ。
これらの現象により、標高2500m程度の酸素レベルでミトコンドリアのパフォーマンスは約4倍に上がると言われている。それにより脂肪と糖が多く燃やされ、痩せる訳だ。マラソンランナーが高地トレーニングをする理由の一つが、ミトコンドリアを含む体内の仕組みをアップデート*するためで、そうすることにより少ない酸素でより多くのATPを生産、つまり長い距離をより早く走れるようになる訳だ。
ミトコンドリアの生産性向上は一度発現すると三日程度続くと言われている。つまり、高地トレーニング後、三日程度は代謝が上がった状態=脂肪が燃えやすい状態が続くということだ。ということはせめて週に2回程度高地トレーニングをやれば、代謝レベルを高止まりさせた状態で生活できる。とはいうものの、僕らは高い山に週に2回も行けるわけじゃない。どうすればいいのか。実は、今はその高地環境を街中で再現してくれる低酸素トレーニングジムというものがあるのだ。
僕は低酸素トレーニングジムのことを『HEAD STRONG シリコンバレー式頭がよくなる全技術』で知り、「こんなジムがあるんだアメリカには!」と驚嘆すると同時に、日本にはないのかな?とすぐに検索で調べた。
日本にもあった。そのジムがこちら。
検索当時、ちょうどこのジムがオープンしたてで、これはきっと運命に違いないと思い込み速攻入会した。効果は抜群に出た。さすが「完全無欠コーヒー」を発明したデイヴ・アスプリー(『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』、『HEAD STRONG』の著者)だ。7%の体脂肪率減少を実現できたのはこのジムのおかげといってもいい。最初は週1回のプランだったんだけど、効果が出てきたので結局は無制限に通える「プロフェッショナルプラン」に切り替えたほどだ。
低酸素トレーニングにはミトコンドリアへの刺激以外にも大きなメリットがある。それは成長ホルモンがドバドバ出ることだ。なので筋肉の合成ペースも上がり、修復も早い。実際、自分は低酸素トレーニングを始めてから、美容師のお姉さんに「髪が太くハリが出ましたね!」と言われるようになった。同世代の友人にも「シワがないよね〜」と羨ましがられる。これは低酸素トレーニングのおかげといっていいと思う。
先に挙げた低酸素ジム「Fitlabox4」以外にも、どんどん低酸素トレーニング施設が誕生している。下記に他の3店舗をリストアップしておいた。ぜひ近くにあれば、一度試してみて欲しい。その効果は生化学的に言っても間違いないのだから。
まとめ
1. ミトコンドリアを鍛えれば痩せる
2. ミトコンドリアを鍛えるには低酸素環境でトレーニングを行うのが効果的
3. 低酸素トレでは成長ホルモンも出て、お肌もキレイに、髪も太くなる
ダイエットをやってる人でミトコンドリアレベルまで気にしてる人はほとんどいないと思いますが、僕はWHYの部分で納得できないと先に進めない性格のため、ここまで突き詰めてしまいました。でもきっと、このnoteを読んでくださってるアナタはきっと僕と同類で、なぜそうなのか?が気になる人なんだと思います。このnoteがそんなアナタのダイエットへの動機付けになったのなら幸いです。
次回パート3は低酸素トレーニングと並行して僕が行っていたもう一つのダイエット秘密兵器"HIIT"(High-Intensity Interval Training)についてまとめる予定です。HIITを行うと、アフターバーン効果といってHIIT後48時間は何もしなくても脂肪が燃え続けるという効果を利用してダイエットを行うことができます。それって最高じゃないですか?はい、最高なんです。ぜひダイエットシリーズパート3も乞うご期待!See you next!
*低酸素状態では、ミトコンドリアの強化以外にも「エリスロポエチン」というホルモンが増えて赤血球が多く作られ、酸素をより効率的に確保できるようになる。2019年にはその仕組みを解明した三人の研究者がノーベル賞を受賞している。
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