【読書】 正しい狂気。 ~ 怖い患者 久坂部羊 ~
今週もコングラボードを頂けました。
お読み頂いた皆さま、有難う御座います!
大好きな中瀬親方(新潮社出版部長)がオススメしている本はメモに取って、ハードカバーで無い限り購入して読んでみたい派です。(何の派閥?)
自分は病院へ行くことが多いので今回の本はとても気になり、素早く地元の本屋さんへ小走りしました。
新書でしたが置いておらず、取り寄せをお願いして三日後にゲッツ。
楽しみにページをめくりました。
ここからはネタバレを含む感想を書きますので、これから読書予定の方は読後にお読み頂けましたら幸いです!
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本書は5編からの短編集です。
タイトルは「怖い患者」ですが、医師の立場である人間も登場します。
そして、どのお話も濃いです。
思い切って書くと、救いのある話が無いです(笑)
病院や病気絡みですから、本来は完治に向けての治療だったり、体調の改善対策などが主体になり、治療を行う過程で「頑張れ!!」「他に方法は無いの?!」など、感情移入するものかと思います。
最初こそ、各々の登場人物の体調や状況に「それはツライわぁ」「自分にもいつかこんな出来事が訪れるのかしら」などと思ったりします。
ですが、読み進める内に登場人物たちのエグ味が徐々に増して行き、状況に翻弄されているようで自身で堕ちて行くようでもあり、不安を感じていたはずが沸点を迎えた途端に強烈な攻撃性が出たり。
ある意味「ホントかよ?」と思うようなお話に見えますが、世間を賑わす事件や事故のニュースが頭をよぎったりします。
オレオレ詐欺や、フィッシング詐欺、国際ロマンス詐欺など「なぁんで引っ掛かるかねぇ?」と思っていても、全く被害は減る気配も無く、むしろ「進化」して「手を変え品を変え」で「ホントかよ?」は現実です。
体調を崩していると思考も乱されがちです。
ちゃんと薬を飲んでいるのに・・・
色々と気を付けているのに・・・
言われた通りにやっているのに・・・
良くなるために、こんなに頑張っているのに!!
大小に関わらずきっかけがあれば「プチッ」と行くもの。
プチッと切れた我慢や希望は、本人が「正しい」と思いこんだ「狂気」を加速させて暴走します。
自分を「騙した」医師を撃退したり、自身の背徳感を自虐や「他人の不幸で代替」させたり、報われない状況を「集団で排除する」方法だったり。
うわぁ・・・っと思いつつ、「で、どうなるの、これ?」と読まずにいられません。
メンタルが落ちている時にはオススメ出来ない作品だと思います。
登場人物の内面の闇だけに「当人」じゃないと理解しづらい部分もありました。
・・・ただ、
「わかるわかる!」となる時は「狂気側」に足を突っ込みつつあるのかな・・っと。
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