【読書】一緒に住んだら家族です、但し… ~ マーダーハウス 五十嵐貴久 ~
特に目的も無く本屋さんをブラブラしていた時、書店員さんのオススメPOPで何と書く手に取りました。
帯を読むと「一気読み大賞受賞作」とあり、怖い話好きとしての琴線にピーンっと。
表紙が既に相当怖いので、期待大でした。
ここからネタバレ感想文になりますので、これから読むわ、いま読んでいるわ!な皆さまは読後にまたいらして頂けましたら幸いです!
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のっけのプロローグから、ホラー系が苦手な方には「ウゲーーー」っとなる描写でスタートします。
「ウゲーーー」なので割愛しておきますね。
ストーリーはシェアハウスそのものと、そこに住まう人々に降りかかる謎の出来事として展開して行きます。
シェアハウスそのものは相当リッチな外観であり、外観に負けない素晴らしい設備となっています。
大金持ちの老夫婦の別荘として鎌倉に立地しています。夫婦が息子夫婦の海外勤務に同行するため、無人にすると建物の痛みが進行してしうため、シェアハウスの賃貸物件としたのです。
そのため・・・
各部屋は30平米もあり、ベッドや机、ソファ、お風呂なども完備。
リビングにはステキなキッチンがあり、冷蔵庫をはじめとしたお皿やコップなども自由に使って良く、食洗器まで完備。
地下には洗濯機や乾燥機、シアタールームがあり、庭にはジャグジーのあるプールまで!!
さらに加えて自由に使って良い2台の車まで完備。
これでお家賃は光熱費込みで「45,000円!!!」
掃除などは持ち回りの当番制。
難点があるとすれば、丘の上の一軒家で回りに何も無く、交通の便が非常に悪いこと。
これを除くと鎌倉の大学に通うために地方から上京してきた、主人公の「理佐」にとっては願ったりかなったりの物件なのでした。
シェアハウスには先住人がおり、男性が3名と女性も3名。
それぞれ学生だったり社会人だったりフリーターだったりと様々。
皆一様にテレビのシェアハウス番組みたいな「かっこいい・きれい・かわいい」外見の人ばかりですが、かく言う理佐も色白で小柄で可愛くあります。
少しずつ生活に慣れ、ひとり暮らしだったら寂しかっただろうから良かった。そんな思いで過ごしていく内に、小さな異変が身の回りに置き始めます。
自分の部屋の机に積んでいる雑誌の順番が変わっているような。
部屋にいる時に外の音なのか判断しづらい音が室内で聞こえたり。
備え付きの家具がなぜか全て固定されていたり。
そしてシェアハウス仲間のひとりに悲劇が訪れます。
これをきっかけとして、徐々に同居する仲間への不信感や違和感を覚え始めるのですが、はっきりとした確証が持てず悶々として過ごします。
そこへシェアハウスの元住人の失踪について刑事が訪ねて来る、唐突に現住人が書置きだけ残して前触れ無く引っ越していくなど、落ち着かない日々が続き、とうとうシェアハウス内で亡くなる住人が出てしまいます。
不安な気持ちでいる理佐へ、高校の時に「ほんのりしたお付き合い」をしていた弘から他愛の無い連絡があり、会うことになります。
現在起こっている不穏な出来事を弘に相談していく内に、理佐と弘でシェアハウスで起こっている「違和感」を突き止めるべく動き始めますが、その動きに忍び寄る悪意が・・・。
他人が同じ建物で生活をすること。
昔は下宿などの形で大家さんも同居、または近所に住まうなど管理監督的な存在がいらしたと思います。
シェアハウスは下宿のような仕組みでは無く、基本的には住人のみが生活を送っているようなイメージです。
何か問題が起こった時は住人同士で解決を目指すのでしょうが、家族のような生活を送っている者同士では、ちょっとしたことでとんでもない方向へ突っ走ってしまうことも多々あるかと。
接している人は「楽しい人」「優しい人」「困った人」「怖い人」、そのイメージ通りの人なのか。
おいしい話には罠がありがちですが、こちらの本の罠はとんでもないものです。シェアハウスならずとも、怪談話が好きな自分としては「賃貸物件」そのものに怯えそうな勢いでした。
他人と建物を共有して居住することは、当たり前にありますよね。
他人との距離感、相手から思われている距離感。
「一緒に住んでいるから家族みたい♪」
知り合う人全てに疑心暗鬼になりそうな、そんなコワーイお話でした。。
そして確かに「どうなるの?どうなるの?」っと、一気読みしちゃうかと!
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