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超短編小説『重くて大切な贈り物よと答えた』    1話完結

電車の中で
6歳くらいの女の子が
優先座席の
マタニティーマークを
指差して
母親に 
これはなぁに 
と聞いた

母親は 
お腹に赤ちゃんがいる
女性だと答えた


女の子は思案顔し
お腹に赤ちゃんがいると
病気なの?と 
聞き返した

母親は 
赤ちゃんが
お腹にいると 
重い荷物を
持っているのと同じで
大変なの 
と答えた


女の子は 
また思案顔し
赤ちゃんは 
重い荷物と同じなの? 
と聞き返した

今度は 
母親が思案顔し
荷物と同じではないけど 
重いのには変わらないの 
と答えた


女の子は 
荷物と同じではないけど 
重いのは同じというのが
解らなかった 


女の子は思案顔で 
電車の吊り広告を見上げた
ケーキ屋さんの広告で 
ケーキにロウソクが
灯されていた

女の子は 
その広告見て 
満面の笑顔で母親に 
赤ちゃんは
重い贈り物の荷物なんだね 
と告げた

母親は 
満面の笑顔で 
その通りよ
赤ちゃんは 
重くて大切な贈り物よ
と答えた






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