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詩 : 必要としている誰かに呼応して
飛行機を嫌う人は
意外に多い
緊張高まる密閉された空間
大勢の見知らぬ人々
でも国土が大きい国では
欠かせない移動手段
飛行機が苦手なその女性は
不承不承で搭乗した上に
予期せぬ乱気流と遭遇した
からだかこわばり
冷や汗も噴出した
一人の男性CAが
女性乗客の異変に気づいた
声をかけても
虚ろな表情
そのCAは女性乗客の手を握り
座席横の通路に座り込んで
女性乗客に寄り添い
手を握り続けた
フライト中 女性乗客のそばにいて
機内で鳴る音や衝撃の理由を
ひとつひとつ説明し
少しでも不安を軽くしようとした
この様子を近くで見かけた
他の乗客が写真に撮って
とても心温まる光景に遭遇したと
SNSに投稿した
投稿は瞬く間に拡散されたから
大手メディアが取り上げた
男性CAへのインタビューで
驚くべきことが明らかになった
この男性CAはベテランではなく
わずか3ケ月目の新米だった
前職はレストランのマネージャー
接客の心得はあったのだそう
必要としている誰かに
呼応して寄り添うということ
そのような人と人の関わりは
職種など越えて活きるものと
知らされた