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自動二輪限定解除 その2

なかなか受からない、やっと合格

昭和のオートバイ大型免許(限定解除)の苦労話です。ただ受験を続けるだけでは合格は困難だと思い、試験場で受験する前にホンダのレインボーモータースクールの一泊での教習に行きました。
ここでは、オートバイの初歩から叩き込まれます。バイクブームの最中で、高校時代で降りてしまった人のリターン組がとても多く、正直レベルが二極化していました。
教官はさすがなもので、発売されたばかりのCB750Fを乗りこなし、休憩時間にハンドルをフルロックさせて「どれだけ最小範囲で回転出来るか」というのに挑戦していて、転倒していましたww。

参加者全員でコースを周回していて、ふとハンガー(格納庫)前に目が止まりました。ここは、軽飛行機の飛行場が隣接しているのですが、昔、飛行機博士だった私はすぐに分かりました。ハンガーから出されていたのは、第二次世界大戦で使われた、ロケット特攻機 桜花の操縦席より後ろの部分でした。「何でこんな所にあるんだ?」と思いつつ、本来の走行に頭を切り替えました。

久しぶりに乗る人は隊列についていくのがやっと。オートバイに乗り続けて来た私は、教官の動きや体の使い方を少しでも学ぼうと、なるべく教官のすぐ後ろに付くように走ります。単に試験コースをこなせばいいというものではなく、「大型に乗る資格があるのかどうか」も審査の対象になります。
きちんと乗りこなしている感も合格への重要なファクターでした。例えばスラローム、ハンドルで曲がるのではなく、アクセルワークで車体が起き上がる特性を生かしてオートバイをコントロールする。もちろん、ステップを擦れば減点です。

スラローム走行ではテンポの良さも大切

座学もあり、大型を受験する心得も叩き込まれます。例えば、「ヘルメットを粗雑に扱うライダーは、大型に乗る資格なし」というものや、暑くても万が一の時の為に、最低でも上着は長袖、グローブの着用も必須。
「君たちは中型よりレベルの高いライダーにならないといけない」と意識も変える必要がありました。これらは今でも実行しています。
現在の教習所ではどうなのでしょう。合格率80%以上の縛りがあるから、無いのでしょうか。
その他、ターンの視線の位置や一本橋の走行、試験場の審査官から見てこのライダーなら乗る資格があると思われないと合格はしませんから、ただ上手いだけではだめなのです。
一泊ですから、就寝前は遅くまで参加者同士でオートバイ談義に花が咲きます。高校生の時には△△に乗っていた、合格したら自分は○○に乗りたい等など。話をしていると私が「すでに乗っている」というのがウケました。

ここのスクールでの難関は一本橋。試験場では一本橋はコンクリート製の長さが確か10m。ところが、ここでは建設現場で使う分厚くて長~い足場板が路上に置かれていました。長さは10mが2枚だったか、7m程が3枚だったでしょうか。固定していないので、渡っていると板と板がずれてくるのです。
教官はそのずれた足場板を脱輪する事なく上手く乗り切ります。
もちろん、その後は私たちの番。覚えてはいませんが、間違いなく脱輪したと思います。でも、その荒修行を繰り返した事が後の試験に役立ちました。
視線の位置はとても大切です、一本橋では落ちないように、ついフロントタイヤの先を見てしまいがちですが、それではかえってふらついてしまう。
ここで学んだことは、後のテストドライバーでも役に立ちました。

一本橋は半クラッチ、リアブレーキと視線が重要です

最後に全員の採点を試験場よろしくするのですが、皆が「あの人は上手い」と認める人が最上位。次が私で、バランスが良い点を褒められました。
「その1」で書いた通り、事前に何か月も訓練していたおかげです。

私が大型の受験を始めた頃は一部の都道府県で、自動車試験場に4メーカーが自社のオートバイを持ち込み、有料で受験を前提とした訓練を受けられる制度が始まっていました。
余りにも厳し過ぎる試験制度で国内ではオーバー400ccがほぼ売れなくなり、中古も400cc以下より安いという三段逆スライド方式になっていました。おそらく、国内でも販売したいメーカーが陳情でもしたのでしょう。
とはいえ、実際に受験するコースを走れるのですからメリットは大きい、早速申し込んでアドバイスも貰いながら受講しました。

友達は別の県でこのような受講をしたらCB750を押して走れと言われて、遅いと「何タラタラは走っとるか!」と恫喝され、数回通ったものの諦めてしまいました。
現代だったら大問題になるでしょう。でも昭和の時代はこのような感じだったのです。
国内メーカー4社が自社のオートバイを2台ずつ持ち込み、試験コース通りに受講します。とはいっても、教習所の教習のように優しくはありません。

ホンダは発売されたばかりのVF750、ヤマハはGX750、スズキはGS750、カワサキはなんと中古のZ750P(ポリス)つまり元白バイ!
乗りたいオートバイに乗れるはずもなく、VF750には乗れずじまい、GX750はシャフトドライブの癖で、一本橋での安定性が悪かったのを覚えています。GS750は普通で、思いの外乗り易かったのがZ750P。払下げか引き取りだったのでしょうけれど、国費でしっかり整備されていて、重かったけれどとてもスムーズな走り。さすがRS(ロードスター)ですね。

この試験場では「ガソリンタンクに砂が詰められている」という噂の、センタースタンドの事前審査用の古いCB750がありました。今は女性も多く大型オートバイに乗っていますが、センタースタンドの事前審査はあるのでしょうか?知っている方がいましたら教えて欲しいです。
余りにセンタースタンドが重くて、男性でも持ち上げられない人がいる程でした。それで、休憩時間に「タンクキャップを開けてみよう」という話になり、開けてみました。さすがに砂は詰まっておらず、以上に重い理由は何度も倒しては起こすを繰り返しているので、センタースタンドが歪んでテコが効きづらく、立てるのが難しくなっていたのです。

このようにモータースクールとメーカーの協力がある実地講習を経て、事前審査に合格して実地試験に臨みました。
左右確認がはっきり審査官に分かるようにと、ヘルメット後部に三角形の反射ステッカーを作って貼りました。ヘルメットはもちろんジェットヘル。
視野の確保と頭の動きが分かりやすいようにです。
試験では左右確認は目の動きだけではダメで、審査官が管制塔から見ていてきちんと確認しているのが分からないといけません。あくまで判定するのは審査官なのです。
見通しが悪い交差点も同じで、一時停止して身を乗り出し、左右を確認します。
服装は車屋でバイトしていた友人からもらったもの。視認性が良いオレンジ色の布ツナギで試験に臨みました。
実地試験では緊張してミスが出ます、コースミスも数回かしました。コースミスは減点の対象ではなく、正しく復帰すれば問題はありません。ただどうしても焦ってしまいます。

一本橋はリアブレーキをかけながら車体を安定させるようにし、半クラッチで渡りますが脱輪すると失格なので、確実に完走する為に9秒以上で渡る作戦にしました。
困ったのは、昔のオートバイですからワイヤー式のクラッチの切れが悪く、ギアの入りが悪い事がありました。特に1速から2速へのシフトチェンジ。
これも少しだけクラッチを繋ぐ事で解決出来るのも学びました。
今であれば、これは除電で解決出来る事でした。タイムマシンがあれば、休憩時間にちょちょっと付けて挑みたかった。

試験車はスズキのGS750でしたが、その中にエンジンの調子の悪い車両があって、一本橋を低回転・半クラッチで走っているとエンストするのです。
これは私だけではなく他の人もそうで、多くの場合は脱輪に繋がり失格。
私もそうなった事もあれば、すぐにセルを回してエンジンをかけて渡り切った事が確か2回あります。
GS750はスズキの初めての4ストロークエンジン。時代もあってエンジンとして完成していなかったのでしょうか。4ストロークエンジンの技術は、カワサキのZ1の開発者をヘッドハンティングして開発したのはご存じでしょう。

今のオートバイからしたらエンストなんて考えられないと思いますが、脱輪は脱輪ですから失格。帰りの運転は当然荒くなりました。
脱輪以外は多少の減点箇所の違いはありますが、不合格が続きます。なかなか合格せず、もう少しというのが続きました。
「何で合格しないのだろう?」と考えましたが、分かりません。そのうち「続けて試験を受けていれば、そのうち受かるだろう」と開き直りましたが、それでも受かりません。
ふと頭に浮かんだのは、「余りにも目立つ服装で受験し続けているから、審査官に前の印象が残っているのではないか?」と思い付き、ヘルメットのシールを剥がし、ツナギをやめてジーンズとジャケット姿で受験しました、そうしたら合格!憧れの自動二輪車限定解除となりました。
遂に免許証の裏側に「限定解除」のハンコが押されたのです。嬉しくて、帰りの車の中で大声で「やった~、限定解除したぞー!」と叫びながら帰ったのを覚えています。

数年後、地元の馴染みのバイク屋に寄ったら、顔見知りの大学生が大型免許に挑戦すると言うので、「その1」に書いた受験に向けての心得を話したら、…ポカーン??としていました。
別に自慢ではないですが、当たり前のレバーの指4本掛けや、ニーグリップ等などを先輩として伝えたのですが、厳しい現実の実感がなかったのでしょう。

在学中にやっと大型免許が取れて卒業し、テストドライバーとなりました。その時でも免許改正で引っかかった年齢層では、自動二輪大型免許所持者は私を含めて3人しかいませんでした。
数年後、地元でもメーカーがオートバイを持ち込んで教習する制度が始まり、テストドライバー仲間が受講するというので見に行きました。見ていると上手いライダーもいるのですが、かなりの数が「中型を受験するの?」というレベルで驚きました。
パイロンをハンドルを使って曲がっている人までいました、ビックリです。ゆとり教育ではないですが、レベルを落とすとそれなりになってしまうのですね。

このように、大変な苦労と研鑽をして、晴れて自動二輪限定解除免許が取得出来たので、16歳からずっとオートバイの趣味が続いています。
レースもそうですが、厳しい状況の中で経験した事が後に活きるのです。
簡単に大型免許が取れていたら、オートバイは卒業して車だけになっていたかも知れません。
人間は苦労して手に入れたものは大切にするものですから。

もちろん、結婚してからは限度を決めて、嫁から文句を言われないように家庭サービスや家事もこなします。家庭があっての趣味ですから…。
このような長いライダーとしての経験、テストドライバーの経験を生かしてマジ軽ナットをネット販売しています。

マジ軽ナットは、元HRC、WGP500のレーサー新垣氏や、某メーカーの元テストライダー、元プロ4輪レーシングドライバーも気に入ってくれています。

何もプロライダーでないと効果が分からない訳ではなく、誰でも体感出来る、逆に言えばその位静電気は走行に悪影響を及ぼしているのです。
当ブログを読んで除電に興味を持ち、お買い上げ下さった方が「マジ軽ナット生インプレッション その4」に再度インプレッションをコメント欄に寄せて頂きました。2輪のライディングアドバイザーをされているそうです。
さすが人様にライディングを教える立場だけあって、まさにそのインプレッションが的確です。
マジ軽ナット タイヤ用、あの小さいパーツをちょちょっと付けるだけで大きな変化を生むのです。「目からうろこでした」、「衝撃でした」という連絡も頂いています。そのような方は次なる除電チューニングに進まれています。

12年前に静電気が走行性能に悪影響を与えているのを知り、面白くて次々確認して行きました。当初は「静電気?そんなの影響ある訳がない」とバカにされたものです。でも、素人さんでも走れば分かる。
今では、静電気という名前を留電気と言い換えたい位です。
やっと近年、「除電チューニングは効果があるらしい」位の人が増えて来た実感があります。明らかに問い合わせの数が増えているからです。
走行性能が良くなる、効率良くなる理屈はある程度ブログに書いていますが、当ブログを盗用して「除電して~」と模倣にもなっていない部品を売っている輩がいるので、余り詳しく書けません。正直、憤りを感じいています。日本人として恥ずかしくないのでしょうか。
理論や元素、形状など、除電する要素をバランス良くまとめて作らないと放電などしません。大量に放電しなければ体感も出来ません、当たり前の事です。

試験場のオートバイにマジ軽ナットを付ける訳にはいかないでしょうけれど、もし付けられたら操作安定性が改善されて、出足も軽くスムースな走りが出来るから評価点に有利になりますね。
マジ軽ナットはあくまで除電チューニングの入口。少しの出費で結構な効果、長く使えるからお金まで節約出来るのがマジ軽ナットです。

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