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140字小説

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#小説

【140字小説】サイレントキラー(140文字)

【140字小説】サイレントキラー(140文字)

「幸子。飯はまだ?」

「ごめんなさい」

幸子は、小さじで塩を鍋に入れた。

「なあ仕事辞めたらどうだ」

「・・・」

「お前は仕事できないんだから家にいた方がいいんだよ」

「ごめんね。手際が悪くて」

「ところで俺、血圧高めらしい。食事気をつけてくれよ」

「ええ」

幸子は大さじに変え、さらに塩を入れた。

【140字小説】突然のできごと(140文字)

【140字小説】突然のできごと(140文字)

「蓮が自転車で学校から帰宅中、車に追突されて死んだらしい。即死だって」

スマフォから聞こえる友達の声が遠くに感じた。

電話を切った後、気持ちの整理がつかず、蓮と遊んでいたオンラインゲームを起動した。

すると突然、蓮のキャラクターからメッセージが来た。

「俺に何があったんだ。教えてくれよ」

【140字小説】素直な子(139文字)

【140字小説】素直な子(139文字)

「僕。男の人こなかった?」

「おじさん達は?」

「警察の人。人を刺した人がこっちに逃げたんだ」

「僕の家に男の人来たよ」

「その人は?」

「僕の家。お母さんから外に出ていてって言われた」

「まずいな」

「その人からこの箱渡されて、誰かきたらこのボタン押してって」

ドンッ

そして誰もいなくなった。

【140字小説】詐欺師ホイホイ(139文字)

【140字小説】詐欺師ホイホイ(139文字)

「こんにちは」

工員風の男が家の前にいた老婆に声をかけた。

「ん?」

「屋根が剥がれかけてるから見てあげるよ」

「うちの屋根がか」

「あそこ」

男は庭に入って行った。

「屋根は剥がれとらんわ。お前も詐欺師か」

「え?」

「庭の奥に詐欺師が何人も転がってるわ。ヒヒ」

男の脇腹に深々と包丁が刺さった。

【140字小説】なぜそれを?(139文字)

【140字小説】なぜそれを?(139文字)

「まって。閉めないで!」

エレベーターに先に乗っていた男に向かって女性が駆け込んできた。

「どうしましたか?」男が「閉める」ボタンを押す。

「男に後をつけられたの」

「顔は見ましたか?」

「見てないわ。逃げるのに必死だったから」

「フードを被った男だと見えませんよね」

「そうね・・・。え?」

【140字小説】マンネリ(140文字)

【140字小説】マンネリ(140文字)

「今週末のデートどうする?」

俊二が玲奈に聞いた。

「もう、行きたい所には行ったわよね」

「俺たち付き合い長いしな」

「最近ちょっとマンネリよね。私たち」

「つまらない?」

「そんなことない。一緒にいるの楽しいけど」

「じゃあ・・・これなんてどう?」

俊二は結婚指輪と式場のパンフを玲奈に渡した。

【140字小説】キモい告白(137文字)

【140字小説】キモい告白(137文字)

「舞香、好きだよ」
悠馬が言った。

「そういうこと何人に言ってるの?」

「え」

「会社の若い娘達と遊んでるじゃない」

「好きなのは舞香だけ」

「嘘よ」

「じゃあ、これ見て。毎日舞香の写真に告ってるんだ」

隠し撮りした舞香の写真に「好き」と言っている自撮り動画が悠馬のスマフォに大量にあった。