記事一覧
【140字小説】仕事をやめて自由になること(140文字)
(これで自由だ!)
会社勤めが今日で終わった。心が軽くなり、体が幸福感で包まれた。これでストレスからも解放される。
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2週間を超える頃、私は、次第に自由が重荷になってきた。誰とも話さない生活もきつい。
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1か月が経った。自由がこんなに不自由で神経を蝕むものとは・・・。
決めた。働こう!!
【140字小説】母の日の贈り物(140文字)
「母さん。『母の日』は何がいい?」
「うーん、カーネーションはいらないわ」
「他の花?」
「60過ぎて花の世話も面倒。実用的な物がいいわね」
「実用的な物かぁ」
「よろしくね」
※
「母さん母の日だね。はい、これ」
「封筒?」
「開けてみて」
「これ何?」
「老人ホームのパンフ。かなり実用的でしょ?」
【140字小説】届かぬ想い(140文字)
「もう、終わりにしてくれ」
彼の口から放たれた言葉が、私の胸に着弾した。
胸の痛みで息ができなくなった。
「どうして?」
「わかっているだろ」
「私はこんなに好きなのに!他の女がいるのね?」
私は泣きながら叫んだ。
「違う」
「じゃあ何よ!?」
「僕は君のこと知らないんだ!付きまとわないでくれ!」
【140字小説】働き方改革の効果について(140文字)
同期の結城と葛城が役所の食堂で昼食を食べていた。
「結城の課って仲良さそうでいいよな」
「え?うち?」
「事務室の前を通ると笑い声がよく聞こえるよ」
「ああ・・・」
「うちは、上がパワハラだからシーンとしてる。いいよなぁ」
「うちも同じ。それをごまかすために課長が笑い声だけ流してるだけだぞ」
【140字小説】アーマゲドン(140文字)
それは真夜中だった。
尋常じゃない揺れが襲った。
飛び起きたが、とても立てないほどの揺れだった。
部屋の物全てがシェイクされているようだった。
俺は頭に衝撃を受け記憶が途絶えた。
どれくらい経っただろう。意識が戻り目を開けた。
板の上で寝ていた。誰もいない。あるのは赤く染まった海だけだった。