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としべえ@ぷち作家
2021年8月27日 19:21
きみは魂を沈めるのか、鎮めるのか。それとも静めるのか。心は硝子(ガラス)の器にあふれる濁り水のようなもので。そっと静かに置いておけば、水を濁らせていた泥は器の底に沈んで、きみの落ち着かぬ心はやがて鎮められてゆき、少しずつ透き通り、いつの間にか澄み渡り、そして体の隅々までも良気が満ち渡る、そうだ、しみじみと高気が冴え拡がる。扉の向こう、窓の向こうには、眩しいほどの曇天の下に駐車場として使
2021年3月5日 21:36
そうです、これはある類型の、絶対的に言葉には写しえない、この身のうちにまさに今この瞬間やどっている、不可思議奇妙な気分についての、そもそも言葉というものは、この世界で生じる現象の、不完全な写像(マッピング)にしかすぎないのですから、いくら地図をよく読み解いて、そこに描かれているすべてを頭に入れて、そのすべての相関関係にまで思いを至らしめたとしても、所詮地図は地図でしかなく、
2021年2月3日 23:56
数学の世界の初めに空集合があるように、宇宙の初めには無限小の一点があり、空集合がゼロから初めてイチ、ニ、サンと無限への階段を歩み続けるときに、宇宙は一挙に爆発して素粒子の踊りを始める。渾沌の玄妙空無なる道(タオ)から生まれいでたぼくたちは、不可思議な個別性を背負って旅に出ることになった。個体という容れ物の中に臓器と魂を収めて、やがて訪れる死という次の旅立ちのときまでを、浮き世でヤドカリのご
2020年3月11日 11:19
今日しか書けないことがあるだから今日書く今ここで感じていることを今ここで書く生きる苦しみも喜びもすぺて書くあの日の絶望を忘れずにあすへの希望を書く今日は書けないことがあるだから今日は書かない今ここで感じていることなど言葉にできるわけがない生きる苦しみも喜びも味わうしかないあの日の絶望を手放してあすへの希望を忘れて実在に虚在を足し合わせたとき真実が現
2019年6月9日 23:50
とことん眠りにうつつを抜かすのだ午後の白い光の中安宿のくたびれた寝台の上で寝返りを打つきみは悪夢未満の寝心地の悪さが身に沁みて脳の芯まで浸して切りのない寄せては返す自己否定の波また波の珊瑚の浜をいつか見た砂漠の駱駝に重ね見て奈落の底を仰ぎ見てそうだまばゆい地獄へと昇ろう今こそ微熱に包まれた背中にはかげろうの羽光きらめかせ軽く風に乗って重力のくびき