- 運営しているクリエイター
2020年10月の記事一覧
【小説の書き方 138】
創造的な力は最高の人間の力である。それは決して基礎づけられたり、習得されたりしないが、私はどんな人間もそれを身につけており、神との真の類似性――あるいは神との同一性でさえ――がその中に含まれていると確信している。
ミヒャエル・エンデ
小説の書き方 対話篇(3)
「おひさしぶりです」
「小説は書けたかね」
「いや。それが」
「まだ、書いてない」
「書いたには書いたんですが」
「えらい」
「どうも。しかし」
「なんだ」
「あんまり、評判がよくなくて」
「なんて言われたの」
「意味が分からない、と」
「誰に言われたの」
「友人です」
「気にする必要はないだろう」
「そうでしょうか。けっこうショックだったんですけど。恋愛小説のつもりだったんですが、時代小説として
【小説の書き方 135】
賢明な作者はお気づきでしょう
以下のことを繰り返し申し上げているだけです
・時系列を忠実になぞらない
・身につかない語彙を雰囲気でつかわない
・世界観そのものを書かない
・見聞きし考えたことをすべて書かない
・事件の連続でプロットを構成する
・コンフリクトで登場人物の価値観を表現する
【小説の書き方 133】
文学は、狼がきた、狼がきたと叫びながら、少年がすぐうしろを一匹の大きな灰色の狼に追われて、ネアンデルタールの谷間から飛び出してきた日に生まれたのではない。文学は、狼がきた、狼がきたと叫びながら、少年が走ってきたが、そのうしろには狼なんかいなかったという、その日に生まれたのである。
ナボコフ
【通信講座】 小説「コップ座のデネブ」 講評
うまい。
おもしろい。
平易なことばで書かれているが
類型的文学表現におちいることなく
真の芸術的抒情が随所でかがやく。
乾いて赤くひび割れた唇から白い息が漏れた。
ミヅキくんがアルゴ船について語るのに、口もはさまず耳を傾けていた。夜の帳を縫い合わせた帆を、自慢げに張って。闇に溶け込む星色の船体は、夜風に吹かれてしゃらしゃらと流れ星のように空を揺蕩うんだ、と。
ミヅキくんは望遠鏡を直さな
【小説の書き方 132】
読者が良き読者になるためには、どうあるべきか、答えを四つ選びなさい──
1 読者は読書クラブに属するべきである。
2 読者はその性格にしたがって、男主人公ないし女主人公と一体にならなければならない。
3 読者は社会・経済的観点に注意を集中すべきである。
4 読者は筋や会話のある物語のほうを、ないよりは好むべきである。
5 読者は小説を映画で観ておくべきである。
6 読者は作家の卵でなけ
【通信講座】 小説「音のない懺悔」「孑孑と石楠花」 講評
『【通信講座】 小説「拝み屋雲水の事件簿 拝み屋雲水③ 花鬼」 講評』で
読書体験がこんな苦行であっていいだろうか。
14/131 までしか読めなかった。
耽美的文体を志向しているのは分かるが、あまりにもぎこちない。
と書いた。
それぞれ3/13、2/14 までしか読めなかった。
作者は日本近現代文学を
「むずかしい」「分かりにくい」「つまらない」
という先入観で読み
そのように書こうとし