【ペッパーズ・ゴースト】感想文
伊坂幸太郎さんの『ペッパーズ・ゴースト』を読了しました。この作品も従来の伊坂作品らしく特殊能力を持った主人公が登場します。その主人公は中学教師の壇先生です。壇先生の特殊能力とは飛沫感染する事によりその相手の少し先の未来の視界を共有出来るという能力です。作中では『先行上映』と呼んでいました。つまりその相手の少し先の未来が見える訳です。そんな壇先生に自作の小説を読んで欲しいと依頼して来る女子生徒が居ます。その小説とは『ネコジゴハンター』と名乗るアメショーとロシアンブルーの2人が猫虐待者やその応援者たちに制裁を加えて行くという小説です。壇先生は依頼に応え、その小説を読んで感想等を女子生徒に伝えたりします。そうこうしている内に壇先生はあるトラブルに巻き込まれ、さらにそのトラブルに女子生徒の小説がリンクして来るという展開が待っています。伊坂さん本人も言っていましたが、伊坂さんの得意技がこれでもかこれでもか、と詰め込まれた伊坂ワールド全開の暖かい小説となっています。現実を忘れて一時のファンタジーに浸ってみたい方にピッタリの小説だと思います。文章も読みやすくスラスラとページが進み、それでいて確りとした重量感も兼ね備えた作品です。まだ未読で興味が湧いた方がいらっしゃったら、是非とも一読してみて下さい。必ず満足出来ると思います。そしてアメショーとロシアンブルーのキャラが際立っており、この2人が物語に軽快な色彩をもたらしていました。アメショーとロシアンブルーを主人公にした続編も秘かに期待しています。