Azoop=スタートアップの営業現場を赤裸々に書いてみる(その2)

こんにちは、Azoop小林です。

4月に その1 を公開してずいぶん間が空いてしまいましたが、引き続きAzoopの営業現場の話を書いてみようと思います。

ちなみに、Azoopには7月から新たにリクルート出身の営業責任者鉾田がジョインしました。これから、鉾田のもとで、最強の営業チームができると思います。

それでは本編です。


2020年4月頃~6月頃

昨年4月は、新型コロナウィルスの影響で、全国に緊急事態宣言が発出されていた時期です。当社も2020年4月は全社出社停止、リモートワークに挑戦しました。

新型コロナウィルスの蔓延が当社に及ぼした影響

新型コロナウィルスの蔓延が当社に及ぼした影響は主に以下の2点でした。どちらも非常に大きなマイナスの影響でした。

(1)営業活動の停滞(リモート営業への切替難航と対面営業の停止)

緊急事態宣言下で、当社もリモート営業、オンラインアポに切り替えるため試行錯誤を繰り返しましたが、うまく馴染みませんでした。かといって対面営業を受け入れていただけるお客様も少なかったです。当社の営業対象業界である運送業界は、以下2つの観点から、この時期は特に難しかったです。

①運送業界のデジタル化の遅れ

運送業界はトラックで荷物を運ぶ業務ですから、業務上パソコンに向かって仕事をする場面が限られます。そのため、どうしてもデジタル化が遅れがちになります。

お客様からは「パソコンが会社に1台しかないんだ」「メールアドレスはあるけれど、パソコンにカメラやマイクがついてないからテレビ会議なんてできないよ」といった意見が多く聞かれ、オンラインアポの取得が難しかったです。

②運送業界で働く人はエッセンシャルワーカー

緊急事態宣言の発出に伴い「人と人との接触を最低7割、極力8割削減」「オフィスでの仕事は、出勤者を最低7割削減」の協力依頼がありました。しかし、そうした中でも物流は止めるわけにはいかず、運送会社はコロナ対策を強化しながら通常営業を続けていました。運送業界は社会を支える業界であり、そこで働く人はエッセンシャルワーカ―なんです。

まさに社会の血脈として荷物を運び続ける業界だからこそ、お客様は総じて、「クラスタ―を発生させるわけにはいかない」「物流を止めるわけにはいかない」との意識がとても強かったです。

外部の我々のアポイントメントを受け入れていただけるお客様は少なかったです。

(2)フィリピンへの中古トラック輸出の停止

日本から輸出されるトラックの輸出先はフィリピンが突出しています。そのフィリピンでは2020年3月中旬頃から、ロックダウンを実施しはじめ、徐々に対象エリアが広がり、4月頃には全土がロックダウンとなりました。港湾は閉鎖され、中古トラックの輸出が停止、今までは輸出されていたトラックが行き場を失い日本国内の市場にあふれ出し、中古トラック売買相場が大きく崩れました。本来、我々のビジネスモデルはマッチングですので、相場が崩れることの影響は少ないのですが、この時はロックダウンがどの程度続くかわからなかったことで(「もしかするとすぐにロックダウンが解除されて相場が元に戻るかもしれない」との期待感も含めて)お客様が売却を一時的に凍結する事例が続出しました。

Azoopはどんな対応をとったか

粗利益への意識を高め筋肉質な経営に切り替えを目指しました。

実施した施策は以下2点です。

(1)「粗利益額」を営業目標とする

営業目標をそれまでの「成約車両数」から「粗利益額」に切り替えました。この目標設定は今日に至るまで変更せずに続けています。

マッチングプラットフォームとしての当社が、営業目標を粗利益額とすることのデメリットは、営業パーソンが「高粗利益額が狙える車両や業務に集中し、本質的な会社の成長(規模の拡大)が阻害されること」だと思います。

実際に多くのプラットフォーマーは、成長期においては、採算性に目を瞑り流通量(流通単価でなく、流通数や流通総額)を増やす戦略をとることが多いです。当社においても、それまでは、成長性を重視し出品車両数や成約車両数を目標に置いてきました。

当社では、営業目標を①出品車両数→成約車両数→粗利益額と順を追って変更してきました。

これによって、営業パーソンの日々の活動は営業目標が出品車両数や成約車両数であった頃の、新規開拓数を重視する活動スタイルのまま、粗利益を重視するメンタリティにシフトすることができました。

具体的には、出品車両数の最大化→成約車両数の最大化→粗利益の最大化それぞれにこだわりお客様に対峙する活動が根付きました。

(2)粗利益率の設定厳格化と台あたり最低粗利益額の設定

それまでも粗利益率は設定していましたが、成約車両数を確保するために柔軟に(?)利益率を変更(低下)させていました。

4月から、お客様に提示する見積金額を承認制とし、利益率の設定を厳格化させました。また、台あたりの最低粗利益額も設定し、利益率とともに、設定を下回る場合は承認を必要とする運用に切り替えました。当社は営業SFAにセールスフォースを導入しています。セールスフォースにSVFクラウドを加え、負荷なく承認制を実現しました。

この施策によって懸念されたのは、成約率(成約車両台数÷出品車両台数)の低下でしたが、影響はおよそ2%の低下に抑えられました。2021年9月以降は徐々に成約率が向上しはじめ、今では以前を超える水準となっています。

結果として

台あたり粗利益は+300%、成約CACはー60%となりました。

その1の最後に書きましたが、2020年3月までは、粗利益を削ってでも成約車両数を追い求める活動を続けていました。当時の成約CAC(営業経費、間接費含む)は20万円程度で、まさに薄利多売モデルでした。

それが、2020年2Qでは11万円程度、2020年4Qでは8万円程度と大きく改善し、1台あたりの収益性改善が見えてきました。(また営業パーソン一人あたりの月間粗利益は2019年は70万円を割っていましたが、2020年には300万円弱まで劇的に改善しています)

2020年7月頃~12月頃

新規商談数を最大化する

6月頃になると、新型コロナウィルスの影響が徐々に薄れてきました。4月5月に売却を一時凍結していたお客様が売却されたことで、2020年7月は、売上粗利益、出品車数、成約車数が当時のギネスを記録しました。

このタイミングで、成長を促すために、粗利益目標とは別に、新規商談数目標を設定し、モニタリングを強化しました。

また、お客様紹介キャンペーンを実施しました。運送業界は横のつながりが強い会社様が多く、驚くほど紹介キャンペーンがはまりました。多くのお客様から新たなお客様をご紹介いただき、当社のサービスを知っていただく機会を作ることができました。

結果として

一人あたり新規商談数が、2020年2Q 14.8件→2020年3Q 35.4件 とおよそ2.4倍となりました。

2021年1月頃~2021年3月頃

既存顧客のフォローを強化する

この頃になると、既存のお客様が増え、既存のお客様を大切にする必要が高まりました。一般に、営業目標を達成するための労力は、 新規対応:既存対応 = 10:1 と言われるほど、既存のお客様に継続的にサービスをご利用いただくことは事業成長にとって重要です。

過去の実績では、当社のサービスでお車をお売りいただいたお客様は、84%が2年以内に再度当社にお声掛けいただけますが、より既存のお客様との結び付きを強化する施策を動かしています。

実施した施策は以下です。

個社毎の案件管理に移行

それまでは、既存のお客様への活動を均質的にとらえ「既存のお客様への訪問接点〇件、電話接点〇件」といった管理を行っていましたが「既存のA社様に△月◇日に訪問する」といったように、個社毎に管理するようにしました。営業パーソンは、個社毎に接点頻度を設定し、接点が持てているかを自ら細かく管理しています。

結果として

成約車両数における、既存のお客様の割合が、2020年3Q  56.7% から 2020年4Q 64.7%に増加しました。ちなみに、同じ時期に新規のお客様の成約車両数は+31.2%でしたので、新規が減って既存の割合が増えたわけではありません(既存の増加率が+83.3%で、より大きかったです)

さいごに

2020年度は新型コロナウィルスの影響により、激動の1年間でしたね。今回振り返ってみて、そうした中でも、一歩ずつ確実に成長してこれた1年間だったんだなと改めて思いました。

営業の現場では、最低でも四半期に1度は何らかの変更があり、試行錯誤を繰り返しています。振り返ってみると、成功した施策も、失敗した施策もありますが、当社のバリューである「挑戦を楽しむ」「計画よりも行動重視」の姿勢で挑めば、結果はついてくるのだなと思います。

成長するベンチャー企業で試行錯誤する。結果として、営業として自分も成長できる。今のAzoopにはそんな環境があると思います。

「本当にそんな環境なの?」とまだ半信半疑の方。当社ではカジュアル面談を実施しています。就活でいうところのOB・OG訪問みたいな感じです。

少しでも興味を持っていただけた方はぜひ一度お会いしましょう。

興味を持っていただけた方はこちら

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