三方の小品【20:クラシック音楽】
〇〇に入るキーワードは、配信中にスターとコメントのキリバンを取っていただいたリスナーさんにリクエストしていただきました。
鎌倉屋トルテという少女の思い出や、頭の中に触れていきませんか。
クラシック音楽
クラシック音楽 (テキスト版)
内容は上の画像と同じです。
そっと黒い円盤に針を落とすとぷつっと静かに音が始まって、目を閉じれば一気に小さなクラシックホールに瞬間移動。クラリネットのソロから始まるダイナミックなナンバーも、様々な管が代わる代わる登場する切ないナンバーも、どこか遥か遠くの異国の自然を感じさせる弦の響きが壮大なナンバーも、どれも幼き時分より身近な存在であった。その響きは一瞬にして別世界へといざない、現実世界のあれこれを忘れさせてくれる。
ふとした瞬間に、作者の生きた時代を想う。どんな時に、この曲たちを生み出したのだろうか。
時には自分の心のままに、また時には必要に迫られて。もしかすると、今私が抱く穏やかな感情とは程遠いところから生まれた曲もあるのかもしれない。当時は見向きもされなかった作曲家もいただろう。こんなにも美しい響きがたくさんあるのに。いつの時代も、人は人が好きなものが好きである。もっと、自身の感覚に自信を持ってもいいのに。と、自分自身に言い聞かせるかのように思考が巡りだせば、取り出すレコードはもう「あれ」のみだ。
と、思うや否や、レコードがぷつりと演奏を終わらせた。さてさて、と、とあるジャケットに手をかけつつ、一枚一枚交換をしなければならない”手間”も楽しんでいる自分に気が付く。ボタン一つで音楽を聴けるこの時代に、わざわざスリーブから取り出して、丁寧に盤に載せ…針を落とす。手をかければかけるほど演奏が良くなる、ということはないけれど。特別な”時”になる気がするから。ワルツが響き、またくるくると回りながら前へ進みだす。
初出:2022年1月5日
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