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フィクション

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ショートショートや超短編小説集。
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#短編小説

Shiohigari 序

Shiohigari 序

 ウェットティッシュを一枚取り、PCのモニター画面を拭こうと右手を伸ばしたら、ぬかるぬ泥道に靴が沈むようにモニターにめり込み、手首まで飲まれたまま抜けなくなった。
この世界ではよくあることだが、毎度ながらイラつく。反射的に派手に舌打ちをしてしまう。
「あのー、またですか。この前のアプデ以来バグばっかりですよ」思わず吐き出す言葉に怒気が滲む。
タラは寝ているのか。返答がない。つくづく二流の野郎だ。死

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暇なのでベーグルを食べます

暇なのでベーグルを食べます

 縁側に腰かけて庭に足を投げる紫陽花に声をかけたが、返答がない。
「うん」も「へぇ」も「ふん」もない。
昨晩の軽い口喧嘩が尾を引いている。
太陽は俺達のちょうど頭上を通過する途中で、まるで巨峰の房のように連なる厚い雲を追い払おうと、精いっぱいの光を空に流している。

 いつもそう、紫陽花は簡単にへそを曲げてしまう。
俺だってお前にそっぽを向けたい日もあるんだよ。 
紫陽花の背中にそんな言葉を投げか

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すみれ

すみれ

 意志の弱い僕はこの日も帰り道に煙草を買う。吸い慣れたラッキーストライクのライト。
家に帰り、熱いコーヒーを入れて、ライターで煙草に火を点ける。
コーヒーはインスタントだし、ライターはコンビニで買った130円の使い捨て。

 持ち主に似て彼らもまた安っぽいレプリカント(量産品)だ。
しかし彼らには役割がある。少なくとも僕にとっては必要なものだ。
誰の役にも立てない僕とは違う。僕は僕の役にも立てない

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