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【読めば観たくなる】退屈な『2001年宇宙の旅』を誰でも楽しく観る方法

 この記事ではストーリーの考察とか、当時の制作背景とか、そういう深い解説は一切ない。そういったものは専門家に任せるし、何よりも作品を観てまずは自分で考えたり調べたりしてみてほしい。

 ただ、この記事を読めばきっと『2001年宇宙の旅』を観たくなる。それだけは保証する。保証したい。

当時革新的でも今面白いとは限らない

 まず、上の動画を再生してみてほしい。最近の映画と比べると1カットが長く冗長に感じるかもしれない。退屈だと感じるなら少し飛ばながら見ても良い。

 誤解を恐れずにいうなら、この映画は刺激が少なく退屈な映画だと思う。劇的なドラマも、悪を懲らしめてスカっとするような爽快感もない。カット割りも少なく、同じような映像が続くシーンもあるし、セリフがないシーンも多い。次々と情報が流れ込んでくる最近の映画とはまったく毛色が異なる。
 それでも本作が名作と言われているのは、SF映画の基礎を築き上げたかららしい。しかし、当時としてはエポックメイキングで凄い発明だったとしても、50年以上経った今見てもそれが面白いとは限らない。

 敢えて本作を退屈な映画だと言いつつ、それでも尚見るべき価値があるものとして、楽しんで見るためのポイントを2つ紹介する。

ポイント1:CG or 宇宙で撮影 どっち?

 この『2001年宇宙の旅』が公開されたのは1968年。ビートルズがまだ解散していない頃といえば、その古さが伝わるかもしれない。
 何が言いたいかというと、この映画にはCGが一切使われていないらしい。というか、まだCGというものがなかった時代に撮影された映画なのだ。

画像引用元:【解説】映画『2001年宇宙の旅』キューブリックが徹底研究した作品と、集められたスペシャリストたち|CINEMORE(シネモア)

 漆黒の宇宙も、太陽の光を浴びて白く輝く宇宙ステーションも、どう見ても宇宙で撮影されたようにしか見えない。グリップシューズで不便そうに歩く女性、中空に浮かぶペン、これらがすべて無重力空間で撮られたといわれても信じてしまう説得力がある。が、もちろん宇宙で撮影された訳ではない。

 まるで手品を見るように、本作の映像の不思議さを味わってほしい。

ポイント2:一時停止して分かる凄さ

 本作を初めて観たとき、私は寝た。それくらい本作は刺激がない。おまけにBGMにはクラシックが流れたりするものだから、心地よい眠りに誘ってくれる。しかし、知人からアドバイスをもらって2回目を観たときは、最後まで興味深く観ることができた。

 そのアドバイスは"映像美に着目する"ということ。宇宙と宇宙ステーションのコントラスト、劇中に出てくる部屋や家具の色や配置など、様々なところに注目してみてほしい。本作は美しいシーンであふれている。精巧な彫刻に感心したり、山の頂上から絶景を眺めたり、そういうのと同じ類の感動が随所に散りばめられている。

画像引用元:【解説】映画『2001年宇宙の旅』キューブリックが徹底研究した作品と、集められたスペシャリストたち|CINEMORE(シネモア)

 最もその美しさが分かる方法は、適当な場面で一時停止をすること。わざわざ厳選せずどこで止めても、ほとんどの場面が1枚の写真作品のように見えるはずだ。
 上の画像を見てほしい。骨や地面、雲の白を基調に、黒色の猿がくっきりと映っている。今にも右手を振り下ろそうとしている決定的瞬間だ。雲間から見える青空がまぶしく、文字通り何だか暗雲の中に希望の光が見えているような気さえする。

 本当にどこで一時停止しても綺麗なので、ぜひお気に入りのシーンを探してみてほしい。

楽しもうとする姿勢が興味を広げるのだ

 私は『2001年宇宙の旅』が好きだ。しかし、初見のときは寝てしまったし、この映画が退屈な側面を持っていることは否めない。話は淡々と進んでいくし、終わった後はあっけに取られるような内容だ。

 しかし、少し視点を変えてみるだけで本作はグッと面白くなる。そして、面白く観ているうちに、退屈だったクラシック音楽や冗長なシーンからも壮大さ、雄大さ、偉大さのようなものを感じられるようになってくるだろう。

画像引用元:【解説】映画『2001年宇宙の旅』キューブリックが徹底研究した作品と、集められたスペシャリストたち|CINEMORE(シネモア)

 観終わったときに抱く感想は「綺麗だった」でも「何だか凄かった」でも「よく分からなかった」でも良い。とにかく他の映画ではなかなか味わえない体験ができているはずだ。

 さあ、早速Amazonで観てみよう。下のリンクから観れば、少しばかり私の収益になるらしいから、今すぐ観よう。そうしよう。


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