工学や自然科学に興味があると錯覚していたのです。
次に何か新しいことを学ぶとしたら、何を学びたいだろうか?
先日の記事を書いた後に、自分の好奇心が作動したり、琴線に触れる何かを見つけてみようと、色々と考えてみているところだ。
これまで気になっていてまだあまり触れられていない分野とか、最近新しく知ったキーワードの中で、今頭の中に浮かんだものをとりあえず並びたててみた。
システム思考
ルールデザイン
社会科学
私は博士(工学)の学位を授与された立場の人間のくせに、工学的なことよりも、社会科学的なことに興味が向いているようだ。
なぜこれらに興味があるのだろうか?
「システム思考」については、数年前から分野としては知っていた。それは、私の研究に関連するやや広範の領域を取り扱うテーマに対するアプローチ方法として使える可能性があったからだ。
私の博士論文の中では、「システムとは何か?」という問い、すなわち、システムをどのようなものとして捉えるか、が非常に大事であったから、この「システム思考」の考え方も知っておく必要があったのだった。
「ルールデザイン」については、たまたま本屋でこの教科書に出会って立ち読みしてみたら、結構面白くて衝動買いしてしまったのがきっかけだ。
興味を持った理由はおそらく、私が他者に対して、他者の行動を変えるほどに強く自分の意見を主張するのが苦手だからだ。
その代わり、なるべくみんながストレス無く過ごせるような「ルール」を設計することで、自分も過ごしやすい関係性がつくれるようになるかもしれないと思ったからだ。
それに関連して、「ルールの科学」という教科書も読んでいる。
これは准教授に紹介してもらったもので、冒頭では自然科学との対比としての社会科学の位置づけと、社会科学の役割や意義は一体何なのか、を説明している。これが結構面白い。
筆者の主張は、自然科学では「この世界に存在し、人間の手では変えられない『法則』」を研究対象とするが、社会科学は「人間の手によって変えられる『規則』(本書では『ルール』)」を研究対象とする点で大きく異なっていて、自然科学的思考をそのまま社会科学に適用するだけでは、社会科学の目的や意義を説明しきれない、というものだ。
筆者が明快な論理を丁寧に積み上げてくださっているからわかりやすいということももちろん作用していると思うが、なぜかわからないが、読んでいてワクワクする。
そのように考えると、この数年間の自分の感覚を自分なりに点検し分析するに、私は本当は工学系の人間では無かったのではないか、と考えている。
それは少し言い過ぎだとしても、「当時は工学系に興味があると錯覚していただけで、本当に興味があったのは工学や自然科学ではなく、『人間という存在』(ここまでの文脈で言うと、社会科学)についてだったのではないか」と考えている。
そういう興味の変遷を自分自身でも理解した上で、これから自分として何を研究していくか、再定義することはできないだろうか。
社会科学が研究対象とする『規則(ルール)』は、何らかの目的を持って何らかの活動をしながら生きている人間たちが、お互いの主張のぶつかりを調整するためにつくられるものである。
また、そのルールをどのように設計すればよいのか、良いルールと悪いルールをどのように判定すればよいのかを考えるのが、「ルールデザイン」である。
さらに、ルールをもとに運営される人間集団は、そういう何らかの活動をしながら生きている人間たちが集まった「システム」であると捉えることもできる。
今の自分の興味を関連させると、このようになりそうだ。
ここからどの世界に踏み出していくか、考えていきたい。