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山小屋での食事は心が温まるのです。

(昨日の続き)

山小屋について一休みした後は、夕食の時間だ。

こういう山小屋では一体どんなご飯が食べられるのだろうとドキドキはしていたものの、ある程度は質素で控えめなご飯になるかもしれない、と期待しすぎないようにしていた。

食事ができたとスタッフに呼ばれて食堂に入ると、多数の机の上に夕食の1人分のセットが整然と並べられていた。我々7人は隅の8人掛けの席に座り、器のフタを開け、夕食の全貌を目にした。

炊き立ての白いご飯に、ニンジンやゴボウなどが入った温かい根菜汁、鶏ひき肉を使った小ぶりなハンバーグが2つと、お漬物のセットだ。

まず根菜汁を口に入れると、標高の高さでひんやりとしていた体にその温かさが染みわたる。ニンジンやゴボウは、普段料理をしない私からすると不思議なくらい柔らかく煮込まれていておいしい。

ハンバーグは水分量が少なそうな見た目をしているのだが、口に入れてみると比較的水分が豊富で、かつ塩味も感じるから、登山後の体にはとてもありがたく感じる。ご飯のお供としても最高だ。

大変ありがたいことに白いご飯はお代わり自由だったので、珍しく私もご飯をお茶碗2杯分くらい食べてしまった。

最後にデザートの羊羹と温かいお茶をいただいて体がすっかり温まると、まだ夕方にもかかわらず、なんだか気持ち眠たくなってきた。

夕食の総じての見た目は確かに質素で控えめであったが、この山小屋の環境と登山によるほどよい疲れの中での食事としては最高で、心まで温かい気持ちになった。

翌朝の食事として、おいなりさんが4つと梅干し、枝豆が入った小さいお弁当パックを受け取って部屋に戻った。

そうして早めの就寝を準備している中でふと気になったのは、こういう山小屋で働いているスタッフたちは、一体どのような生活をしているのだろうか、ということだ。まさか毎日5合目から登山しているわけはないだろう。

ここに住み込みしているのか?もしそうだとしたら、どこに寝泊まりして、何を食べて、仕事以外の時間は何をしているのだろうか?

夏季限定のアルバイトとして来ているのか?もしそうだとしたら、なぜここで働こうと思って、どこからやってきたのだろうか?

いずれにしても、ここでのお客さん向けとスタッフ分の必要物品などについて、いつどうやってどれくらいの量を地上から届けているのだろうか?

そういう素朴な疑問がむくむくと湧き上がってきたが、それをわざわざスタッフに聞くのも野暮な話だと思って、結局何も言わなかった。

そうして夕方6時くらいに一旦就寝して、日付が変わる頃の出発に備えた。

(続く)


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