川上未映子「ウィステリアと三人の女たち」
友人もいないのに同窓会に参加する女優。
毎日一日中デパートで過ごしてブランド品を買う女。
解体中の向かいの家に住んでいた老女の過去を想像する主婦。
何十年も前、老女には唯一愛したイギリス人女性がいた。
迷路の中を進むように読み、ところどころでドキッとさせられる。
読み終えて現実世界に戻ると、脈絡がないと思っていた4作の短編が繋がった。
それは「記憶」。
突然立ち上がった古い記憶に不安になる。
もしそうなら今の自分は違うのかもしれないと。
自分の知らない自分のほうが本当なのか。