本が5冊、9冊、3冊
大学3年生、夏休み
2週間の実習7日目
深夜
眠れない夜
私は今、栃木市嘉右衛門町伝統的建造物群保存地区にいる。
宿泊施設の目の前を流れる巴波川
実習が始まる前日に、宿泊場所にWi-Fiが無いから本とか趣味のものを持ってきてくださいと言われた。
私は、家の本棚の積読を5冊、キャリーケースに収めた。
実習初日、私の趣味が読書だということを告げると、そのまま図書館に連れて行ってくれた。
そこで私は本を9冊借りた。
朝、実習の合間、夜
読書に明け暮れた。
そして7日目の夜、9冊を全て読み切った。
家から持ってきた5冊はまだ読んでいない。
それどころか、休みの日に訪れた本屋が併設されている珈琲屋さんで、本を3冊購入していた。
私が泊まっている部屋には、17冊の本がある。
本が5冊、9冊、3冊、と布団の横に積まれている。
その光景は、私の心を安らげる。
いつだって、私は文字の世界に旅をすることができる。
去年書いた本に、「可愛い子には本とぬいぐるみを持って旅をさせよ」と綴った。
本当にその通りだった。
私はどうしようもなく、いつだって、本に救われている。文字の世界に救われている。
少し前に、とある人が「積読リストは、俺の延命リスト」と言っていたけれど、その気持ちに共感してしまう。積読はすればするほど良い。
珈琲屋さんの店主と夜ご飯に行かせてもらった。
大人の話を聞くのが好きだ。
そこには、その人の人生がある。
私の人生はまだ、語るに足らない。
そのことがどうしようもなく、不甲斐なく感じた。
語れない人生を、文字の世界で補って生きている。
まち歩きを趣味にしている男性も紹介してもらった。その人の話は、人生が豊かだと感じさせられるものだった。
もっともっと彼らの話を聞きたい。
本の世界に触れるように、彼らの世界に触れたいと思った。
実習期間はもう折り返した。
このまちに、もっといたいなと思った。