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フアンタジック・ストーリー
マクロビオティックには心理的アプローチが基本的にない。
それはマクロビオティックでは、私たちを取り巻くこの空間、宇宙そのものが精神であり、肉体は精神の電波を受信する端末と捉えるからである。
そして端末は「食」によって整えられる。
特に精神と肉体をつなげ電波をスイッチングするハブ機能を持つ自律神経は、食と自然のバイオリズムに合わせた生活によって整えられる。
マクロビオティックではこの「宇宙の構造」を学ぶこと自体が精神療法であり、心理療法となりうるのである。
しかし、今回友人の不安神経症、パニック障害的な状態に直面し、思わず考え込んでしまった。
これらの症状に悩む人たちの特徴として、こだわりが強く、とても生真面目で、社会に対しての責任感が強い傾向がある。
そうすると日本ではほぼ社会的に認められない代替療法的アプローチには、こと嫌悪感と拒否反応をしめしガチなのである。
そもそも、社会規範を超えたオルタナティブな価値観を認められる広い心があれば、そんな状態にはならないだろう。
症状に悩む人たちに、ダイレクトにマクロビオティックを勧めたり、無理に実践してもらうと、逆に不安を助長させかねないことになる。
しかし、現代の精神療法は基本的には薬物至上傾向にあり、それらはさすがにマクロビオティックとの共存は難しい。
そんな中で、唯一マクロビオティックと共存しそうで、現代医学にも認められている日本生まれの精神療法(心理療法)がある。
そう、「森田療法」である。
森田療法の創始者、森田正馬とマクロビオティックとは実は因縁浅からぬ関係がある。
若い頃の森田は自身の精神的不調のため、石塚左玄の食養法に興味をもち、なんと左玄の診察を受けたことがあるのだ。
その診断で左玄は、森田の顔を見て、出し抜けに「君は便秘がある、足が冷える、美味いものを食うからいけない。これからは飯とゴマ塩とで沢山だ」と断じたそうだ。
森田は、このあまりにも通俗的で迷信的な診断に嫌悪感を感じたのをきっかけに、独自に医学的、自然科学的信頼性のある精神療法への確立へと邁進したそうなのである。
とはいえ森田療法はとても、東洋的で陰陽学的アプローチの精神療法である。
西洋ではパニック障害のもととなる「不安」という感情を、幼少期のトラウマや脳機能の障害ととらえ、認知行動療法や薬物療法でその病因を取り除こうとするのに対し、森田療法は、病因に着目するのではなく、「不安」という感情は自然なものであり、取り除こうとしたり、逃れようとしたりすれば、逆に不安が増大すると考える。
そして森田は、「不安」という感情には、その奥底に「より良く生きたい」という願望が隠されているという。
つまり、不安を自然な感情として共存させ、より良く生きたいという人間本来の願望をうまく引き出しながら、ネガティブとポジティブを調和させる新たな生活法を提案するという、まさに東洋哲学的で、養生論的療法なのである。
これからの世界は、おそらく「不安神経症」の時代になるであろう。
コロナ現象(幻想)は、まさにその「集団的不安神経症」の象徴のようなものである。
だからこれからの時代、「森田療法」はとても重要な役割を担うであろう。
そして私は最近ふと、森田療法という現代医学にも認められた医療を入口にマクロビオティックを組み込んだリトリート施設というビジョンがなんとなく浮かんだ。
それは、100年にわたる石塚左玄と森田正馬の壮大なる和解のストーリーにもなる。
そして、森田療法の重要な作業療法に棚田での農作業を組み込めば、なんともそれは近未来の「フアンタジック・ストーリー」になるのではないか!
と思うのであった(笑)