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絵本のストーリー

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2024年10月の記事一覧

おじさんの青いハンカチ

おじさんの青いハンカチ

ぼくは 毎朝 がっこうに いく途中 公園で あるおじさんと 会う。

おじさんは ぼくを 知らないし ぼくも おじさんのことを よく知らない。

でも ぼくは おじさんのことを 少し 知っている。

それは おじさんの 青い ハンカチ。

おじさんは いつも 背中を 丸めて ダンゴムシみたいに 歩いている。

それに たばこの においがついた スーツを きているし、
たまに 朝なのに お酒の にお

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はるちゃんの目玉焼きうらない

はるちゃんの目玉焼きうらない

「ねぇねぇ、ママ?」

「なーに?はるちゃん」

「目玉焼きうらない、やろー!」

「そうしよっか!じゃあ、れいぞうこから たまごを1つ だして」

「はーい!」

「じゃあ、はるちゃん たまごを割ってくれるかな?」

「はーい!はるちゃん、できるよ!」

パカッ! ベシャッ!

「わぁ! きみが 割れちゃった…。」

「大丈夫よ、はるちゃん。
ほら、こうして おはしで えがおをつくってあげたら…

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ウサギとカメ

ウサギとカメ

むかしむかしのお話です。

あるところに、ウサギとカメがいました。

「おいらは、かけっこは誰にも負けないんだ」
ウサギは とくいそうに じまんしました。

「ぼくだって、負けないように がんばるよ」
カメもいいました。

「それなら、あの山の てっぺんまで、しょうぶしよう」
ウサギがいいました。  

ふたりのまえには ぐねぐねの やまみちが ひろがっています。

「なんで、あの山に のぼりたい

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花あれば、心躍る⑥

花あれば、心躍る⑥

やがて、くもは消え、太陽が さんさんと 二人を照らし始め、 ぬかるんでいた 足元も だいぶ 固まってきました。

女の子は、「わたし、もうそろそろ行かなくちゃ。」と言って、

コウヤくんに 手を差し出して、二人は 最後に笑顔で 握手をしました。

「元気でね。またいつか会おうね。」とコウヤくんは 去っていく女の子の背中に向かって 叫びました。

女の子は 振返らずに まっすぐに 歩いていきました。

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花あれば、心躍る⑤

花あれば、心躍る⑤

コウヤくんと女の子は お互いに 笑いあったら 肩の力が抜けました。

すると、コウヤくんのお腹が 急に大きな音で、

「グルグル―、グルグル―、グルルーン!」と鳴りました。

女の子は 大きな音に ビックリして その後に 声をだして 大笑いしました。

「ヒャーハッハッ。ヒャーハッハッハ!」と女の子は 笑いながら

両手をたたいたり、右手で お腹をかかえて 左手で コウヤくんの肩をたたきました。

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花あれば、心躍る④

花あれば、心躍る④

すると 1羽の美しいみどりの鳥が コウヤくんの目の前に あらわれました。

すぐに 鳥は飛び立ち コウヤくんは 鳥を目で追い 空を見上げます。

そのとき、空から ポツリと雨が ふり出してきました。

雨は ポツリ ポツリという音から 瞬く間に ザー ザーと 音を変えて はげしく ふりだしました。

あっという間に びしょぬれになった コウヤくんは 仕方なく 雨宿りができる場所を探そうと 歩きはじ

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花あれば、心躍る③

花あれば、心躍る③

コウヤくんは 女神からもらった 地図をポケットにしまい、 懐中電灯をつけて さっそうと かけ出していきました。

あたりは 暗くなりはじめていましたが、コウヤくんは 足をとめずに ひたすら走っていきました。

「これで あの絵本の主人公みたいに強くなれるんだ。ぼくなら きっとできるはずさ。」そう言いながら、走っていたら あたりは もう真っ暗闇でした。

それでも 早く強くなりたいと思う一心で コウ

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花あれば、心躍る②

花あれば、心躍る②

岩の中は まるで別世界のようです。

そこは まわりを見わたすかぎり 木や野草、野花が生いしげっている 森の中でした。

コウヤくんは 自分の身に 今何が起きているのか 理解できずに ただただ その場にたたずんでいました。

その森の中は コウヤくんが大好きな 絵本の中の情景と 全く同じでした。

コウヤくんは ビックリしたまま 開いた口がふさがりません。

コウヤくんが 足を1歩前に ふみだそう

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花あれば、心躍る①

花あれば、心躍る①

ある日、コウヤくんは 公園からの帰り道を 泣きながら 一人で歩いていました。 

お友達と 公園であそんでいたときに お友達から
「コウヤくんと一緒のチームだと 負けるからいやだ。あっちいって!」と言われたのです。

お友達のことばに 心がチクチク、ズキズキしながらも コウヤくんは 
笑って「ごめん、ごめん。」といいました。

「あ、そうだ。用事を思い出したから かえらなくちゃ。またね。」と、うそ

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