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ウサギとカメ

むかしむかしのお話です。

あるところに、ウサギとカメがいました。

「おいらは、かけっこは誰にも負けないんだ」
ウサギは とくいそうに じまんしました。

「ぼくだって、負けないように がんばるよ」
カメもいいました。

「それなら、あの山の てっぺんまで、しょうぶしよう」
ウサギがいいました。  

ふたりのまえには ぐねぐねの やまみちが ひろがっています。

「なんで、あの山に のぼりたいの?」
カメは ウサギにいいました。

「なんでってのぼりたいからさ。のぼって 山の上から 見るけしきが さいこうじゃないか。」
ウサギは カメにいいました。

「ぼくは 山には のぼりたくないんだ。ぼくは うみの中で 見るふうけいが だいすきなんだ。」とカメはいいました。

「それじゃあ かけっこの きょうそうに ならないじゃないか。」と少しイライラしながら ウサギは いいました。

「きょうそうに かつことが だいじなの? それとも 山の上の けしきをみたいの?」
カメは いいました。

しばらくなやんで ウサギは 「ぼくが かけっこで だれにも まけないことを みせたかったんだ。でも カメくんのいうとおり ぼくが見たいのは 山の上からの けしきだけど、カメくんが 見たいのは うみの中なんだね。」と、すこしはにかんで いいました。

「うん。そっか。そうだったんだね。ぼくは ウサギくんが かけっこで だれよりも はやいこと しっているよ。いつも うらやましいと おもっていたんだ。」とカメくんは いいました。

すると、ウサギくんも「ありがとう。ぼくも カメくんが うみの中で およぐと だれよりも はやいこと しっているよ。いつも うらやましいと おもっていたんだ。」と、いいました。

二人は そういって わらい合いました。

「それじゃあね」
そういって カメは うみのある方へ あるきだしました。 

「うん。それじゃあね」
といって、ウサギは 山の方へ あるきだしました。

ふたりは 一歩一歩 つよく そして 前へ前へ じぶんのみちを すすんでいきました。
ふたりの せなかは たくましく 一回りも二回りも 大きく りりしく みえました。


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