読書メモ 「ファウスト 第一部」

「ファウスト 第一部」
『ゲーテ全集 第二巻』より
 ゲーテ 著 大山定一 訳
 人文書院 昭和35年



ヨーロッパ文化を知るならば必読の書であるとされているし、幾多の芸術作品の題材にもなっているので、いつか読もうと思っていた本。よーし、これからは読んでなかった「名作」をドシドシ読むぞ。まずはこの一冊からだ! と勢い込んで読み始めたのだが…。
これ、面白いですかね? 第一部を読んだ限り、どうにもファウスト博士に感情移入できなかった。ファンの人たち、ごめんなさい。
よっぽど「挫折の書」として、完読できなかった本のうちの一冊としてでも紹介しようと思ったが、なんとなく諦めもつかない。第二部まで読み通す自信もないけれど、とりあえず第一部の印象を列挙してみると…


① マルガレーテとグレートヘンが同一人物だということに気づくまで時間がかかった
② とにかく登場人物がやたら多い
③ ファンタジーなんだけど、なんか生々しい
④ ギリシャ神話や聖書に関しての基礎知識があると良い
⑤ 訳註が懇切丁寧なんだけど独特


苦手と感じた理由は③につきる。ファウスト博士がグレートヘンに近づくための手段を選ばない様子が、生々しくえげつないのだ。格調高い表現が続いたあとだと、余計にギョッとしてしまう。
④に関しては、基礎知識がなくても訳者による訳註がしっかりとあるので、それほど心配はないかと思う。ただ、あらかじめ知識があればより楽しめるかと。
⑤に関しては、訳註なのにネタバレや訳者の個人的見解かと思われるものが散見し、軽い衝撃を受けた。ちょっとやり過ぎ感があるが、訳者のファウスト愛をヒシヒシと感じる。実は本編より訳註の方が面白かったりして…。ちなみに先回りして読んだ訳者による解説は、案外普通だった。


「ワルプルギスの世の夢」はシェイクスピアの『真夏の夜の夢』にヒントを得ているとのこと。『真夏の夜の夢』は好きだったんだけどな。

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