tomokoishiguchi

本と音楽を少しずつコツコツと。 読んだもの、聴いたものを忘れないように綴ります。

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    思いついたことなど。

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    クラシックや洋楽を中心に気になった曲を。

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    文学、音楽、美術など。

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余白を歩く 《思い出しグルメ⑮ 田原町〜やっ古

ダンナが生きていた頃、家族で行った店、行きたかった店。なくなってしまった店もあるけれど…。 思い出しながら、ぼちぼち語っていくシリーズ。          * * * 鰻、鰻、うなぎが食べたい。 じゃあ食べに行こう。 どこに行こう。浅草だ。 2016年8月5日、金曜日。 夏休みを取っていたダンナの運転で、急遽弾丸浅草行きが決定した。 「オレ、いい店知ってるんだよね〜」 鰻なら浅草だ。と言わんばかりの自信満々、意気揚々。気がついたら高級店の前に家族四人で立っていた。 人

    • さよならVOXY

      愛車を手放した。 トヨタVOXY。娘が生まれた年と同じ平成19年製。クルマ屋だったダンナが、10年ほど前に業者オークションで探してきたクルマだ。 2年前にダンナがガンで亡くなって3週間後に車検が切れたが、店の片付け等でまだクルマが必要だったのであわてて車検を取った。それが今回また切れるタイミングで手放したのだ。クルマ屋だった我が家がクルマを手放す —— 思いもしないことだったが、維持費を考えると仕方なかった。 手放したのは車検が切れる前日、ちょうど息子の誕生日だった。 結婚

      • 「石川九楊大全」展を見て

        上野の森美術館にて開催中の展覧会「石川九楊大全」。前半「古典篇」に続き、後半「状況篇」を本日鑑賞してきた。 たしかモリサワの『たて組ヨコ組』だったかで見た「歎異抄」に衝撃を受けたのが何年も前。ようやく纏まった作品群に触れることができた。 「古典篇」では神がかった数々の筆跡に圧倒されつつも、書かれていない文字とは何かといったことをずっと考えていた。 「状況篇」はかなり駆け足での鑑賞になってしまったが、まるで脳内地図のような(私にはそう見えた)大作、さらにその大作の構図を彷彿

        • Post-it! 気になる一曲 『Suite 2 - Menuet I, II』

          アルバム『CELLO SUITES 1. 2. 3』より 清水 靖晃 1996年 二度目の人身事故だ。 ホームに溢れかえった人人人… ようやく到着した車両からもオーバーフローする人人… 2台続けて車両を見送ったら帰宅する気が失せた。駅を抜け出して商店街にエスケープする。金曜の夜、商店街も人で溢れていた。 雑踏の隙間から憶えのある音が耳に飛び込んできた。サックスだな。ああ、バッハだ。 バッハとサックス —— この組み合わせに衝撃を受け、何年も前に私はCDを買ったのだっだ。

        余白を歩く 《思い出しグルメ⑮ 田原町〜やっ古

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          余白を歩く 《思い出しグルメ⑭ びっくりドンキー

          ダンナが生きていた頃、家族で行った店、行きたかった店。なくなってしまった店もあるけれど…。 思い出しながら、ぼちぼち語っていくシリーズ。          * * * 


びっくりドンキーのハンバーグが好きだ。 ホッとする味。お味噌汁も何気においしく、ふとたまに行きたくなる。2月にダンナの前の店近くの関町店に息子と行ったのだが、そろそろまた行きたいなあ。 「昼飯にびっくりドンキー行こうぜ」 なかなかびっくりする店名だ。 ハンバーグがおいしいらしい。 それならとりあえ

          余白を歩く 《思い出しグルメ⑭ びっくりドンキー

          ダンナと私と東小金井

          ゴールデン・ウィークだ。 普段やれないことをやろう。 ダンナの写真をひき伸ばして(結婚してしばらくはまだフィルムカメラを使っていたから、ネガフィルムから起こす必要があるのだ)義理の母に渡そう。 が、なかなかやる気が起きない。 写真を見て昔を思い出すのがつらくせつないのと、どんどん物事がはかどってしまうことに対する拒否反応というか…。 で、いつものごとく飲みかけのハイボール缶を横にダラダラとスマホ漬けになり、うつらうつらとし、気づけば深夜になっていた。 その時なぜか「コトブキ

          ダンナと私と東小金井

          余白を歩く 《思い出しグルメ⑬ フレッシュネスバーガーのオニオンリング》

          ダンナが生きていた頃、家族で行った店、行きたかった店。なくなってしまった店もあるけれど…。 思い出しながら、ぼちぼち語っていくシリーズ。          * * * 


「フレッシュネスバーガーのオニオンリングって、食べたことある?」 何かの帰りだったろうか、ふとダンナが言い出し、二人でフレッシュネスバーガーの店に入ったことがある。2004年、ダンナと出会い結婚した年だったと思う。フレッシュネスバーガー初体験。中ぶらりんな昼下がり、店内はガランとしている。 やってき

          余白を歩く 《思い出しグルメ⑬ フレッシュネスバーガーのオニオンリング》

          余白を歩く 《思い出しグルメ⑫ 三鷹〜鳥武》

          ダンナが生きていた頃、家族で行った店、行きたかった店。なくなってしまった店もあるけれど…。 思い出しながら、ぼちぼち語っていくシリーズ。          * * * 


地元民に愛される焼き鳥屋、三鷹の「鳥武」。トリタケさん、我が家ではそう呼んでいた。 「あそこの焼き鳥屋、行ってみようよ」 たしかダンナが誘ってくれたんだっけ。 まだ結婚前だったかもしれない。商店街には夏の陽射しが残っていたような記憶がある。戸を開けると、濛々と立ち篭める煙の中から酔客の上機嫌な赤ら

          余白を歩く 《思い出しグルメ⑫ 三鷹〜鳥武》

          余白を歩く 《思い出しグルメ⑪ 一圓 三鷹南口店》

          ダンナが生きていた頃、家族で行った店、行きたかった店。なくなってしまった店もあるけれど…。 思い出しながら、ぼちぼち語っていくシリーズ。          * * * 


家族四人で何度も行った店「一圓 三鷹南口店」。最後に四人で行った店もここだった。 その店が昨年12月10日、閉店してしまった。ショックで傷がいまだ癒えない。ダンナよ、いちえんが閉店しちゃったよ… 真っ赤な外壁がトレードマークの愛すべき町中華。中央通りにある頃からよく行っていた。幼稚園に通っていた子ど

          余白を歩く 《思い出しグルメ⑪ 一圓 三鷹南口店》

          Post-it! 気になる一曲 『無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲演奏 ファビオ・ビオンディ@神奈川県立音楽堂』

          昨日2月17日、ビオンディの「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」全曲演奏を聴きに神奈川県立音楽堂に行ってきた。 いつかコンサートで通して聴きたいと思っていた作品。そのいつかを今やろう。そんな心境の最近だ。 圧巻のシャコンヌ。これには異論はないだろうが、個人的にはソナタ第3番第3楽章のラルゴ、これがいいなと思った。

          Post-it! 気になる一曲 『無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲演奏 ファビオ・ビオンディ@神奈川県立音楽堂』

          閏年に思う

          今年は閏(うるう)年だ。 一年が通常より一日長い。 年明けからの大地震、飛行機事故など胸が痛む知らせが続いているが、それでも「一日長い」—— ただそれだけのことが、なんとくめでたいことのように思う。五十五歳で亡くなってしまったダンナのことを考えても長く生きること、それ自体が充分に尊いことのように感じる。 近ごろ自分は無駄な延命治療は望まない、さらには日本にも安楽死制度を導入すべきだ、という声もちらほら聞くが、それはあくまで「自分は」の話であって、家族が事態に直面したときに果

          爬虫類狂騒曲

          無類の爬虫類マニアのダンナだった。 ガンがわかった時も、真っ先に心配したのは生き物たちのことだった。私や子どもたちのことじゃないんかい! とツッコミたかった。 「この仔たちをみんな飼って欲しい」 ダンナの遺言だ。 (トカゲ三匹、イグアナ一匹、カメ十数匹…。いや無理だって!) トカゲの中には2m近くに成長するシロモノもいる。カメだって、これめっちゃデカくなるやつだ。けれど無理だとは言えなかった。膵臓ガンはすでに肝臓に飛んでいて、末期だった。 おまけにヒョウモントカゲモド

          爬虫類狂騒曲

          Post-it! 気になる一曲 『Forget-me-not』

          アルバム『壊れた扉から』より 尾崎 豊 1985年 夜中にライブ映像を見ていて涙が止まらなくなってしまった。 命削ってるな。 歌うこと=生きること、生きること=歌うこと、に見える。尾崎豊の音楽ってシャンソンみたいだなとふと思う。シャンソン、全然知らないんだけど。なぜ歌うのか、そのスタート地点がない生成AIはクソだ、とも思う。

          Post-it! 気になる一曲 『Forget-me-not』

          Post-it! 気になる一曲 『プレリュード ホ短調 Op.28-4』

          フレデリック・フランソワ・ショパン/作曲 この曲を前にすると、言葉を失ってしまう。 物凄くシンプルなのに、ものすごく胸に迫る。 ショパンのピアノ曲は唯一無二だ。

          Post-it! 気になる一曲 『プレリュード ホ短調 Op.28-4』

          余白を歩く 《思い出しグルメ⑩ テキサス東伏見店》

          ダンナが生きていた頃、家族で行った店、行きたかった店。なくなってしまった店もあるけれど…。 思い出しながら、ぼちぼち語っていくシリーズ。          * * * 


亡くなる前にダンナが行きたいと熱望していたテキサスへ、先日子どもたちと行ってきた。テキサス ——。飛行機に乗って、ではなく家から車で20分ほどで到着する東伏見のテキサスだ。 「ハラミステーキを食いに行きたい」 ダンナは病気がわかった時にこう言った。 よし、家族で食べに行こう。 しかし、それは叶わな

          余白を歩く 《思い出しグルメ⑩ テキサス東伏見店》

          Post-it! 気になる一曲 『tong poo』

          アルバム『BTTB』より 坂本 龍一 1998年 言わずと知れたYMOの名曲。このピアノアレンジ、好きすぎる。中間部がオシャレだ。 ポピュラー曲はクラシックと違いアレンジが無限で楽しいと最近気づいた。イマイチなアレンジもある一方、原曲を凌ぐアレンジに出会った時のワクワク感が堪らない。 この曲は重ね録りしているようなので、実際は連弾じゃないと再現できない。弾けたら楽しいだろうな。娘と一緒に弾けたらな。

          Post-it! 気になる一曲 『tong poo』