「日本古代文学入門」

7〜8世紀くらいに書かれた日本の古典文学にある様々な出来事は、そっくりそのまま全て真実だとは言えないけれど、全くの創作・作り話であるとも言えずに、現代にも通じる我々の日常・生活に即したものであり、何らかのメッセージが潜んでいるということだ。

記紀から始まって、万葉集、常陸国風土記、出雲国風土記、播磨国風土記、懐風藻、日本霊異記、続日本紀…。

生と死、再生の物語から男女のアレコレ、殺人・エロ・グロ・ナンセンス、スキャンダル、近親相姦、カニバリズム、地震・津波等の天変地異と、ココに抜き出された事象だけでも、古代人の大らかな生の息吹が感じられて面白い。

現代の我々と1300年以上も前の人々と、本質はそんなに変わりはないということだ。人が生活しているのであれば、同じ様に喜怒哀楽があって、たいてい苦悩している。

古代も現代も、確かに古典には極端な例が書いてあるが、基本、人間の営みは大して変わらず、いつの時代もやってることや考えてることは同じ。古代だけが特別ではないのだ。

実は、古典に触れるのは、そのことを確認して、溜飲を下げることでもある。…ということは、我々人間は”進化“しているのだろうか?

古代の文学には価値のあった天皇についても、もはや人権無視の天然記念物の様になっているので、著者のいう様に制度の幕引きを考えた方が良いだろう。いつまでも、表向きの”父系社会“を存続させることが必要かどうか。それが歴史というものである。


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TOMOKI
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。