「日本を寿ぐ」
「寿(コトハ)ぐ」は、著者の好きな言葉で、「祝福する」の意味だが、三島由紀夫とも交流が深かった、日本文化研究の第一人者であった著者の講演集。
日本人でさえ知らない・わからない、“国際性”について、歴史的事実を基に、世界的視野から、美しい日本語によって語り継ぐ内容は、どれも白眉であった。
日本は、長く続いた鎖国があったけど、古くから国際性を求めてやまなかったことを例証している。例えば、「日本書紀」の編纂は外国人に日本の歴史を示す目的が第一だったし。
江戸末の探検家・松浦武四郎や、欧米回覧記を書いた久米邦武、明治天皇などを例に上げながら、中にはトンデモもあるけど、イメージとは異なる、外に大きく開かれた国際的協調性や許容性を一つ一つ丁寧に説明する。明治天皇が魚は大嫌いでアイスクリームとアスパラガスが好きだったなんて。
歴史も文学も、ある一側面だけでは、必ず見誤まることになり、引いては、捏造、排外、不寛容に陥っていくことがよくわかる。
俺も好きな啄木ちゃんの評伝は、「もう一つの、最も幸せな啄木」への著者の愛が伝わって面白かった。
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