【古典邦画】「釈迦」
1961(昭和36)年の、三隅研次監督の大映作品「釈迦」。YouTube角川公式チャンネルにて。
大映らしく大きなセットを使った特撮など大掛かりな作品。釈迦の生涯を描いた。
6年間、瞑想を続けたから悟りを開いたなんて安易だなぁ。特権階級の出である釈迦が、出家して悟りを得て仏陀となり、人を集めて、敬わせて、幸せになるための説法を行う…まさに、天上天下唯我独尊やんけ。なんだかなぁ。
開祖や教祖の伝説や伝記、神話、伝承、言い伝え等を映画にするとメッチャつまらない、というのは定説ですね。ということは、基本的に宗教というのは、現実ぢゃなく飛躍してて、クソつまらないということだ。
人間は歴史上、欲のままに殺し合うことで生き延びて来た。そこにイデオロギーを武器に道徳を説き始めたのが宗教である。欲に抗いなさいと。しかし、その宗教が後に、争い、殺し合いの大きな要因となる。欲を抑えるのはまだ良いが、自分たちこそ真実、一番と考える新たな欲が生まれるからだ。そこに、人間が宿命的に持つ矛盾が存在する。
だから、人の表現には悲劇が多い。喜劇でも、悲劇をベースにしている。
常に矛盾する存在が人間なのだ。平和を謳いながら、一方で慈悲なき殺し合いを続けている。
どんなに素晴らしいことを説こうと、そこに矛盾が見えない限り、陳腐でしかない。人間の現実とかけ離れているからである。ただ、超能力を使った突飛な話で済ませようとしてもダメだよ。
2時間半以上もある長尺のこの映画の見所は、市川雷蔵、勝新太郎、本郷功次郎、東野英治郎、中村鴈治郎、京マチ子、中村珠緒、山本富士子、叶順子、山田五十鈴、月丘夢路、杉村春子など、豪華な俳優陣を揃えていることだ。
それだけ。幼稚な作品である。
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