【洋画】「罪と罰」
久々の、好きなアキ・カウリスマキ監督。
コレは観てなかった、1983年の作品「罪と罰(Rikos ja rangaistus)」(フィンランド)。Amazonプライムにて。
26歳だった同監督初の長編だって。ドストエフスキーの有名な文学を現代フィンランドを舞台としたもの。
デビューとは思えない程のクオリティで、カウリスマキ監督らしい、距離を取ったクールな視点で、殺人という大罪を犯した青年を描く。
食肉処理場で働く元法学生の青年は、仕事を終えて、街で見かけた一人の中年男の跡を付けて、家まで行くと、電報と偽り、中に入って、中年男をピストルで射殺する。そこへ丁度、ケータリング店の若い女が入って来る…。
殺してから、特別逃げるでもなく、どちらかといえば、早く捕まりたいように、ハラハラさせる行動を取って、警察の捜査線上にすぐに浮かび上がって来るものの、なかなか最後の証拠を掴ませない。
苦悩と葛藤の暗い原作とは全く違って、日常のように淡々と事が運ぶのは、まさにカウリスマキ節だ。
刑務所に入った青年が、好意を寄せることになった若い女に言う。
「俺はどうでもいい男を殺した。虫ケラを殺して自分が虫ケラになった。虫ケラは虫ケラとして残る。それもいい。俺が殺したかったのは道理だ。人殺しは誤りだった。俺は孤独には慣れてる。君は自分の人生を生きろ。どうせ死ぬんだ。死んでも天国はない。空には雲があるだけだ」。
人間の内なる罪と罰。道理を葬った後は、囚われの場所で、自由になれたのだろうか?
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