【ドキュメンタリー映画】「きみが死んだあとで」
代島治彦監督のドキュメンタリー映画「きみが死んだあとで」(2021年)。200分超えと長い。Amazonプライムにて。
1967(昭和42)年10月8日、当時の佐藤栄作総理の“南ベトナム訪問”を阻止するための、新左翼らの闘争(第一次羽田闘争)において、混乱の中で亡くなった山崎博昭(享年18)。映像や音声、新聞、ビラなどの資料も入れて、彼の同級生や関係者ら14人が当時を振り返るもの。
昔を懐かしむ感じがしないこともないが、まず、すでに後期高齢者となった団塊世代連中の、若かりし頃と今の変化が面白い(笑)。無常なことに、人は誰しも老いるわけだ。ジジイとなった東大全共闘代表だった山本義隆氏も出て来る。
結局、当時の闘争には価値がなかったなんてことは決して言わない。それぞれの内で、価値も思いも成果もあるだろうから。反省や後悔なんてするな。しかし、“今の若い人に”なんて言説は止めて欲しいものだね。
山崎博昭は18歳のままだ。彼は、日記に、「ニーチェは永遠の青春だ」、「サルトルの否定性としての人間存在なんてのも、永遠の青年たらんとする宣言だ」、「青年の特権は老人を軽蔑しつくす事にある」などと書いている。
山崎の死因は、学生たちは「機動隊に頭部を乱打された」といい、権力側は「学生が、奪った装甲車で轢いた」と主張して、今だにハッキリとはしてないが、当時の目撃証言や医者の検死に加えて、他の負傷した学生のほとんどが頭部への打撲・損傷であることからも、多分、死因は機動隊の乱打にあると思う。この闘争から、学生らは本格的にヘルメットを被るようになる。
“政治の季節”と言われた、当時の熱狂は、マルクス主義なんてイデオロギーは二の次で、人間が持つ負の部分の、公の健康的な発散だったのではないか。権力という明確な敵を得たし。良い意味で“若気の至り”なのである。
次第に、新左翼各党派が主導権争いから内ゲバに走ったことで、くだらない政治的イデオロギーの内に堕してしまったのだと思う。だから、今じゃ、新左翼なんて、組織維持だけのカルト団体と果てた体たらくなのだ。
もし、革命が有効であったならば、山崎がいたごく初期のことであったろう。実は、権力者にとって、一番厄介な存在は、イデオロギーではなく、自分で考えることができる人間だから。
大友良英氏の音楽は素晴らしい。
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