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【先週の生活者不満】「値上げ」不満から見える生活者の本音(~2022/10/2週)

こんにちは。Insight Tech CEO 伊藤です。「声が届く世の中を創る」の実現に向けて不満買取センターを運営しています。

このnoteでの連載として「先週の生活者不満」をお届けしています。

この企画は毎週月曜~木曜日に放送されているJ-WAVE TOKYO MORINING RADIOの毎週木曜日のコーナー「データから導く<Better Life>」と連動しております。毎週ナビゲータの別所哲也さんに先週の生活者不満からみえる「Better Life」をお届け頂いています。是非ラジオもお聴きください。

先週の生活者不満(~2022/10/2)

注目するのは「前の週と比較して増加が目立ったキーワード」。そのキーワードの出現件数を反映したワードクラウド(下図)をみると「先週はこんな不満が目立ったみたい」という理解ができます。

2022/9/26~2022/10/2に寄せられた不満投稿121,374件から作成されたワードクラウド

先週(2022/9/26~2022/10/2)、不満買取センターに寄せられた声121,374件の中で、もっとも増加が目立ったキーワードは「値上げ」でした。今週はこの「値上げ不満」に注目します。

「値上げ」不満から見える生活者の本音

不満買取センターに寄せられた声のうち、「値上げ」について言及された「値上げ不満※」の推移をみると2022年1月から2022年6月にかけて光熱費の値上げ等の影響で「値上げ不満」の件数は増加基調でした。
(※文章内に「値上げ」との発話のある不満買取センターの投稿)

2022年7月、8月の件数はやや減少しましたが、2022年9月に再び増加に転じました。10月に暮らしに身近な食品など6,700品目が値上げされる「値上げラッシュ」となることを見込み、そのことを憂う不満の声と言えそうです。

【値上げ不満】の月別投稿件数の推移(不満買取センターへ投稿された「値上げ」に言及のある不満より作成)※2022年10月は10/2分までの値。

この2022年9月の最終週から10月に跨ぐ一週間(2022/9/26~2022/10/2)でみると「値上げ不満」は実に2,696件に上りました。

「値上げ不満」の「対象」は?

では「値上げラッシュ」直前の2022/9/26~2022/10/2に寄せられた「値上げ不満」はどんな意見なのでしょうか。「値上げ不満」を文章解析AI「アイタス」で処理をし、「意見対象部(意見の対象に当たる部分)」のみを抜き出し可視化、集計しました。

【値上げ不満】文章解析AIによる「意見の対象」ワードクラウド(2022/9/26~10/2の1週間に不満買取センターへ投稿された「値上げ」に言及のある不満(n=2,696)より作成)
【値上げ不満】文章解析AIによる「意見の対象」ランキング(2022/9/26~10/2の1週間に不満買取センターへ投稿された「値上げ」に言及のある不満(n=2,696)より作成)


生活者にとって「ファストフード」の値段は物価変動の指標

この結果をみると、まず、「マクドナルド(全体で3位)」「ミスタードーナツ(全体で9位)」など、ファストフードにおける値上げへの意見が多いことが分かります。

生活者にとって、ファストフードの値段は物価の変動を象徴的に表す指標として捉えられているようです。実際に日常的に購入しているユーザーだけでなく、「ファストフードも値上げしてしまうほどなのか」と「値上げラッシュ」を象徴するニュースとして捉えられています。

マクドナルドのハンバーガーが今年に入って2度も値上げ。ハンバーガー59円の時代は良かった。(40代・大阪府)

マクドナルドも値上げなの悲しい。本当に値上がりばかりで嫌になる。減税や控除を増やしてほしい。(20代・徳島県)

給料が上がらない、給与からの控除は増える、の閉塞感

値上げされた「モノ」や「サービス」への不満以外に目立ったのは「給料」です(全体で2位)

そのほとんどが「給料が上がらないなかで物価が高くなる」ことへの不満となりました。政府において所得向上の実現が重点目標として打ち出されるなかで、その効果を実感できない生活者が多く、物価高がダイレクトに家計を圧迫している様子がうかがえます。

子供の習い事もあらゆるものが値上げ。お給料も値上げしてくれないと生活出来なくなってくる。(40代・京都府)

なんでも値上げなのに給料は上がらない。上がっても色んなものの値上げに比べると追いつかないので暮らしづらい。ヨーロッパみたいに福祉が充実していて(学校とか無料、病気の時もお金の心配がない)お金がなくても安心して暮らせるようにしてほしい(30代・神奈川県)

10月に入り、何もかも値上げとなってしまった。給料は上がるわけではないのに、家計が苦しくなり困る。(30代・宮城県)

加えて、10月から「雇用保険料」が値上げされたことに言及する「値上げ不満」も目立っており、給料が上がらない中で雇用保険料が値上げされることで、実質的に手取りは減っていることへの「不満」と読み取れます。

「給与は増えず、給与からの控除は増え、物価も高くなる」という事象に直面し、生活者の中には「希望が持てない」という閉塞感が漂っていると考えられます。

最近雇用保険や食料品など多くのものが次々と値上げされていく。その一方で給料は以前と変わらないまま。ではその差額はどこで補えばいいのか?どんどん貧困化が進むのが目に見えているのに、経済を回せなど到底無理な話である。(20代・石川県)

10月から値上げラッシュで本当に辛い。給料は社会保険料に加え雇用保険がさりげなく値上げで手取りは減るばかり。(40代・神奈川県)

値上げはどんどんしているのに、雇用保険料が高くなるなかで手当は減り、給料が増えず、手取りは減る一方。この先全く希望が持てない。(40代・奈良県)

将来につながるよう税金を活かしてほしいとの願い

そのような背景もあり、「税金」に言及する不満も目立っています(全体で14位)。「税金」に限らず、国をはじめとするパブリックセクターによる政策推進に対する期待も寄せられています。

これらの多くは「苦しい家計を税金でサポートしてほしい」という声ですが、それだけでなく、「将来」というキーワードと共に「収入が増える好循環につながる経済政策を進めてほしい」という声もありました。

物の値上げ、給料は変わらない事で将来が不安です。そして、年金を貰える時になれば、生活出来るかどうかの微々たる金額ではないのか、、。今どうするかも必要だが、もっと将来を見据えた対策も行って欲しい。自分達は関係ないではなく、もっと若い人の意見もとりいれてほしい。(30代・福岡県)

日本の株価や円の価値が下がりすぎて、しまいには値上げ。給料は最低賃金は上げてもどの企業でも上げてくれるわけではないから恩恵を受けられるのは一部の人々。本当に日本の将来が不安で仕方ないです。(30代・千葉県)

生活者は「値上げラッシュ」を【短期的に家計がひっ迫する出来事】としてだけでなく、【日本経済の将来を憂う出来事】として捉えられていると言えます。

不満の本質は「値上げの先の明るい未来」が描きにくい不安

このように、「値上げ不満」の全体像及び具体的な内容を見ると、生活者は「家計支援」はもとより「将来につながる」ビジョンとその効果実感を求めていると読み解くことが出来ます。

つまり、値上げ自体の厳しさだけでなく、その先に明るい未来を描きにくいことへの「不安」が「値上げ不満」の声となって顕在化していると言えます。

皆さんの一週間が穏やかなものとなりますように。

伊藤

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