その27『もうこりた』
◇もうこりたへの誘(いざな)い◇
スポーツ少年団への入団を嫌がる親御さん問題。
僕は、ここに成長への扉を感じています。
チームに入団したいというお子さんの裏で、親御さんが渋って入団できないというケースが多いことはご存知でしょうか?
大体の理由は…
うちのチームでは①、②はなくなりました。
未だ常態化しているチームもあるようですが。
僕は①、②に関しては必要ないというスタンス。③以降は可能な限りで、できる人がやったらえーやんって思っています。
◇問題の本質◇
だけど、問題の本質はそこじゃない。
『◯◯がしたい』という我が子の願望を叶えてあげたいと思うのは至極当然なこと。それができないほどに、それを上回る嫌な事があるということですよね。
①〜⑦はそれを隠すために捏造した理由に過ぎないと思います。本当の理由、それは――
⑧他人(の子ども)を愛せない
これじゃないかと肌で感じています。
これができれば①〜⑦など楽勝でできてしまう。
これができないほど余裕がない。
…ということは、
⑨自分を愛していない(愛したい)
⑩自分は愛されていない(愛されたい)
これが根本にあるんじゃないかなと思うんです。
◇デイサービスで気付いた、ある感情◇
話が変わります。
僕は、柔道整復師として整骨院に10年勤務した後、デイサービスの機能訓練士に転職しました。
そのデイサービスで衝撃を受けたのが、仕事終わりの同僚同士の雑談です。
『◯◯さん、今日めっちゃ可愛かってん!』
『◯◯さん、可愛いよな〜』
…かわいい?
ご利用者様は高齢者ばかり。
そんな方々を捕まえて、まるでペットを愛でるような違和感を感じました。
『明日も◯◯さんの可愛いさで頑張れるわ〜!』
…可愛さがモチベーションになっている?
最初、全く理解できませんでした。
整骨院時代にも、患者さんを可愛いと思ったことはありません。
そうは言っても、この人達と働くことになったし、ご利用者様とも仲良くしないといけない。
そして、この『可愛い』の正体を掴んで共感できないとこの職場でやっていけないと感じました。
共感は得意です。同僚が可愛いというタイミングで共感すれば、『可愛い』の正体が掴めます。
そして、僕はこの『可愛い』の正体に少しずつ気づいていくのです。
これは『愛しさ』(いとしさ)ではないか?と。
幸いにも僕はこの感情を知っていました。
同僚の『可愛い』を『愛しい』に変えて読んでも何ら違和感はありません。
感情の実態が掴めて、それがポジティブなものであれば、あとは最大化していく。
それも僕の得意分野でした。
◇アマガミ様の話◇
また話が変わります。
妻は、交際したての頃、保育士でした。
彼女との仕事の話でも衝撃を受けました。
『〇〇がめっちゃ可愛くてさ〜
可愛すぎて噛んでしまってん(笑)』
「…?!それ色んな意味で大丈夫なの?」
『大丈夫、〇〇喜んでたし。甘噛甘噛〜』
このとき僕は危ない人と付き合ってるんじゃないかと不安に思ったのです。けど『誠実さとは若干の狂気を含む』が持論だった僕は後に、この女性の『誠実さ』『愛情深さ』に尊敬を抱くことになります。
ちなみに僕はお風呂場で可愛すぎた息子3人全員のお尻を噛んでガチギレされた経験があります。しっかりと信頼関係を築いてから噛みましょう。
◇福祉のオーラ◇
この2つのお話は介護福祉士と保育士、ジャンルで言うと『福祉』の現場のお話です。
『福祉』でワード検索かけたら
僕はこれまで色んな人と出会ってきました。
その中の福祉業界の人のほとんどが、これを無意識レベルで実践していらっしゃった。また、福祉業界に関わらなくとも実践されている方がいて、そういう方々は独特の雰囲気を持っています。
僕はそれを『福祉のオーラ』って呼んでいます。
『あの人、保育士っぽいよね』とか『先生っぽいよね』って感じたら、大体、それを放っています。(僕は福祉の中の教職のオーラらしい)
でね、少年野球に限らず、子ども会やPTAなど親と子の共育現場に居るような親御さんは、そのほとんどが、このオーラを放っている。
その強い、弱いはもちろんあります。
また、最初は放っていなかったのに後から化ける人もいます。後天的なものだということも付け加えておきたいのです。
そして皆、赤の他人に『愛しい』と感じている。
でねでね。僕はね、親子の共育現場を忌避する親御さんにこそ聞いてみたいの。
どうやって『愛』を教えるんですか?って
異性への『愛』も同じです。
年齢を重ね、色んな『欲』が外れていくのを感じています。
それらが外れて残った純度の高い感情のことを考えているんです。それらが外れて何も残らなかったのなら、それは恋だったんでしょう。
妻は、どんどんと歳を重ねて、しわくちゃになっていきます。そんな妻への恋心は跡形もなくなっていく。夫婦であっても職場の環境や生活習慣が違えば価値観もズレてくる。
彼女は結局、血の繋がらない赤の他人なんだという現実が迫ってくるんです。
それでも側にいたいと思うのは、それでも大切に思うのは、『愛しい』と感じるのは、何故??
日本人夫婦の3分の1が離婚するそうです。
僕は、日本人夫婦の3分の1が『愛』に気付けなかったんじゃないかと思うのです。
◇『愛』の乱反射◇
『愛』を知るには、『愛』に気づくには、
『愛』の現場に身を置くことです。
夫婦だけで『愛』を育むこともできるでしょう。
人は鏡なのだから、向き合って愛情を注ぎ、反射し続ければいい。
だけど、子どもの内から『愛』を学べる場所がある。それは多くの親子が参画する共育現場。そこには強烈な『愛』の乱反射が連続で起きています。
この場所に居れば、僕はもっと愛情深くなれる。
子ども達に『愛』を教えられる、と。
◇無理強いはしない◇
参加するのに準備が整っていない人もいます。
まず自分を愛してほしいと思います。
我が子が一番!という人もいます。
まず我が子を思いっきり愛してあげれば良いと思います。
その向こう側に『福祉のオーラ』がある。
その向こう側に『もうこりた』はある。
その向こう側に『誠の愛』がある。
親子の共育現場にて、僕を突き動かすのは、まさしく『愛』です。君達を『愛しさ』の乱反射光で照らし続けて願い続けているのです。
どうか『愛』に気付いてくださいと。
◇それは魔法の言葉◇
グラウンドで、ある子が聞いてきました。
『中尾コーチの帽子の裏、なに書いてんの?』
『もうこりたって書いてるねん』
『もう懲りてんの?(笑)どういう意味なん?』
『そうそう懲りてんねん(笑)自己中の反対語かな』
『己を忘れて他を利する』
僕が何故そうするのか、
いつか君にも分かってもらえたらいいな。
アセビ
花言葉は『献身』