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『若い先生のための教えることが楽になる技術』(高濱正伸)の感想
『若い先生のための教えることが楽になる技術』(高濱正伸)を読んで、参考になったマインドやノウハウをまとめました。
先生だけでなくすべての大人、対子どもだけではなく例えば部下に対してなど、いろいろな場面で応用が効きそうなものもありました。
1.人にできることは、現場に立って感じること
人間としてのバランス、失敗や落ち込むこともすべて含めて、育てていく。100点満点、まったくミスをしないロボットのように完璧に育てるのではない。
※AIと人との棲み分け、共存、繁栄の基礎となりそうだと思った。
2.10歳前後で人は変わる
筆者は、10歳くらいまでを「赤い箱(幼児期)」、
それ以降を「青い箱(思春期)」と表現。
前者はパワーがあり余っていて、計画性がなく、反省しない生き物。
後者は少し大人に近づくため、"振り返り"ができるようになる。
よって、性格や態度・周りの人に対する接し方が変わる。当然、彼らに対する最適な接し方も変わる。
例えるなら、オタマジャクシとカエルくらい違う。
オタマジャクシに「なぜジャンプできないの?」と問うても、まるで的外れであるように、発達段階とミスマッチな接し方をすると、齟齬が生まれてしまう。
2-1.「赤い箱」の特徴(ピックアップ)
①計画性がない、反省しない
→失敗しても、新しいことであれば何度でもチャレンジできる
例:反復練習ができない…
”自分との闘い”として、宿題を提示すると良い。
具体的には、類題の沢山載っている問題集を用意し、
「昨日より1問でも多く正解するようにしよう!」「昨日より1秒でも早く解けるようにしよう!」と、目標設定をする。
限界値を引き上げながら類題演習に何度もチャレンジすることで、自ずと”振り返り”ができる。
②集団で伸びる
→子どもの心臓の速さに合わせた授業をする
ネズミとゾウのように、子どもと大人の心臓の大きさ・スピードは異なる。
よって、大人のスピードで話を進めると、子どもからすると間延びに感じる。
大人にとって少し早いと感じるスピードでこそ、子どもは躍動する。
かつ、集団で、書き取ったり発表したりと授業展開することで、本当に躍動した授業となる。
③視野がせまい
小さい子には大きい文字の本がいいでしょう?と思う方も多いだろうが、そもそも赤い箱は視野がせまい。
従って、本のサイズや文字の大きさが適切か、目の前のその子に思いを馳せ、確認する必要がある。
④すぐ泣く
子どもは泣く生き物。それを利用することも多々あるので、「いま目の前の子が、何を求めているのだろう?」と寄り添うことが大切。
⑤恨みを持たない、喜怒哀楽が自然
だから、どんな感情であってもまず「受け止める」ことが大切。
2-2.「青い箱」の特徴(ピックアップ)
①学習体力がつき、鍛錬を望むようになる
スポーツでいうゴールデンエイジが、学習においては小5~6ごろ。
この時期に「学習鍛錬を積むのは心地良い」と感じられれば、子ども達は伸びていく。
例え中学受験をしようがしまいが、この時期に何かに没頭した経験は必ず財産になる。
②外の師匠との出会いに大きな影響を受ける、親と距離を取ろうとする
親とはわざと距離をとりたくなる時期だからこそ、外の世界に師匠を作っておくべき。なぜなら、学習面、生活面の安定につながるから。
師匠は1人1人との心のつながり(ラポール)を形成することが大切。
例えば、保護者からの信頼の厚いある教師は、出欠確認の際に生徒にその日の朝食を尋ねるらしい。
2-3.すべての子どもに効果的な接し方(ピックアップ)
①1・1・1で信頼を獲得する
子ども一人につき、一日一つ、いいところを見つけて、言葉に出して伝える。「あなたを見ているよ」という姿勢が、信頼につながる。
②渡し方勝負
まず、渡し方とは、声かけなども含む。
赤と青の特性をふまえて、声かけをするなら・・・
【赤い箱に、片付けをするよう伝える時】
× 片付けなさい
○ 片付け競争をしよう!
【青い箱に姿勢をよくするよう伝える時】
× 姿勢を正しなさい
○ 姿勢をよくすると長時間勉強しても疲れないし、ミスも減るよ。
実際、○○さんは姿勢をよくしてからミスが減ったんだ。
③叱るときは「厳しく・短く・あとを引かず」
くどくど叱ると、子どもは状況に慣れてしまい、叱られていると伝わり辛くなってしまう。
④課題を知った上でほめる
お世辞などではなく”ただ、ほめる”には、その子の課題を知っておくことが必要。
それを少しでも克服した瞬間にタイミングよくほめると効果的。
認められたと感じ、子どもはやる気になる。
3.読解力をあげるには?
文章題の苦手な子ども達あるあるが、精読できておらず、核を読み落としていること。
1つの対処法として、低学年ならば、文章読み聞かせのあと、文章に関するクイズをだす。
高学年ならば、文章を絵にしてもらうことが挙げられる。上手いは下手は関係なく、「情報を正しく書き起こせているか」がポイント。
4.学びの土台
集中力、自信、計算力、読み書き、規範(姿勢、メリハリがつけられる)が挙げられる。
特に、「学ぶことそのものへの肯定感」つまり自信や意欲を育むことが重要。
なぜなら、自立して生きていくには、自分はできるという感覚が重要だから。
また、いくら学力を磨いたとしても、自信がなければ怖気づいてしまう。
例えば、音読練習を100回やったとしても、大勢の前で発声できるかどうかは、「よし、やってやるぞ」という自信の有無に係ってくる。
短い時間でも、集中して正しい取り組みをすれば、上記の土台は形成される。その効果を最大化するカギとなるのは、まわりの大人による声かけ、見守り、環境作り。
5.成長し続ける先生(大人)は子ども達から好かれる
そのためにできることをピックアップ。
①語る訓練をする
人前で魅力的に語り、目の前の相手に届くように言葉を発する訓練をすることが、その人自身の魅力につながる。具体的には、経験して、感じて、考えて、言葉にするということ。
魅力的な人は、経験が濃く、感じる力が強く、考え抜いている。だから強い言葉が出てくる。
例えば、「電車に乗ってきました」ではなく「武蔵野線の窓から見える風景はすごいですよね」と言えるか。
さらっとした一言に動かしがたい迫力がある。それはじっくりと磨いていく必要がある。
※本書では、成長する「先生」と書かれていたが、わたしは全大人に共通する事項だと思う
②「物語」をたくさん持つ
物語とは、読ませるためのもの。
つまり、とうていドラマになりそうにもない日常の普通の出来事を、自分なりの視点で切り取って、解釈して、読ませる作品にすることだ。
例えば歴史オタクと共に歩けば、「この坂にはこういう謂れがある」と、普段使っている道も「物語」になる。
③きついほうと楽なほうなら、「きついほう」を取る
その人が「何を経験し」「何を感じ」「どのような言葉にしてきたか」が、その人の魅力に繋がる。
楽なほうばかりだと同じ経験しかできない。それに、「きついほう」が案外自分の本当に望むものだったりする。感性や心の声を大切にしよう。
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