【バイリンガルの頭の中】「困った」と"I do what I want."と同一人物が答える不思議。
前回ご紹介した、アメリカ在住の日本人女性が、日本語と英語で同じ質問をされた場合の回答の違いを再度確認してみましょう。(日本語訳も追加しました。)
今回の日本人女性の例に関しては、言語によって思考の言語化に大きな開きが出るという結果を示していると言えますね。特に「日本語」と「英語」における回答の差ということで、比較的大きな開きがでたのではないかと考えます。英語を話す時は、欧米人的思考に近くなり、日本語を話す時は日本人的思考に近くなっていることがわかります。(ただし、◯◯的思考と一般化することには慎重になるべきです。また、あくまでも彼女の例であり、全員に当てはまることではないということは、念頭においておきましょう。)
特に一番目の質問に対する回答、"I do what I want."というのは、(一般化するのは危険ですが)アメリカ人はよく使う表現で、実際にそのように行動する人が多いと感じます。日本人の場合は、意見の対立、特に家族から反対されるようなことがあれば、「私の好きなようにするから!」と押し切るのが難しいと感じる人もいると思います。
前回参考にした、こちらの英語の記事によると、他の言語の比較も述べられています。ヘブライ語と英語については一人の事例を挙げて、英語とフランス語の場合は64名のデータ、ポルトガル語と英語の違いに関しては複数名のデータについて述べられています。
ポルトガル語と英語における、自分の経験を語る内容の違いに関するデータでは、移民という社会での立ち位置が話に影響する可能性も示唆されていました。また、どのような文脈、状況でそれぞれの言語を身につけたのか、言語がもつそもそもの性質によるのか、複数の要因が関係しているのか、まだ研究を続けるべきだと結論づけられていました。よって、単純に言語だけの影響で話が変わるとは言い切れないと補足されていました。
言語と思考に関しては、人を研究対象としており、様々な要素が複雑に関連して実際の言動に繋がるため、更なるデータ検証が必要な分野かもしれません。
次回は自分自身や知人の経験も含めて、「使用する言語によって、同一人物の言動が変わるのか?」ということについて、考察してみたいと思います。
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