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99歳のばーちゃんの命

私には、99歳のばーちゃんがいます。

数年前に、脳内出血もひどく頭蓋骨の1/3は出血しているレントゲンを見せられて、2/3になると絶命と説明を受けた。

年齢的なものもあり、人工的に生命を維持する選択はないと結論付けた。

コロナの時期という事もあり、最後の面会をしました。

ドクターの先生に言う通り、顔はパンパンに腫れている状態で正直、「苦しいね・・・」って声をかけ、もう大丈夫・・・もう頑張らなくてもいいよって思った。

覚悟というか、お別れというか、こればかりは何とも言葉にならない時間を過ごして、帰宅した・・・

しかし、ばーちゃんの命の力は医者が驚くほどの回復力を見せ、特別な医療措置がなくともその命は絶えることなかった。

そして、月日は流れて昨日またドクターから電話があった。

「安定をしていた状況がかわり、発熱と痰が酷いので通常は日曜日の面会はできないのですが、ぜひ来てください。」と

急遽であったが、もちろん時間を作り私の両親と一緒に病院へ行く。

以前、お別れのつもりで面会した情景が目に浮かぶ。
正直怖くもあった。
怖いとはちょっと違うかな?
命ある内に命がなくなるばーちゃんを「ちゃんと受け止めるための準備」という感じか?

そんなの、どんな気持ちであっていいのか分からないから、正直逃げたいような気持もあった。

しかし、そうは言えず面会へ。

病院へ行くと、看護師さんが明るい声で
「今日は、目も開いて表情もいいですよ」って

「え・・?あ・・ありがとうございます」って、頭で考えていない言葉がとりあえずこぼれる。

そして、通された病室

そこは、4人部屋で高齢の女性がベットで寝ており、ばーちゃんはそのうちの一人になる。

心がざわつく中、ばーちゃんの顔を見る。

「えっ・・!?えーーーーっっ」

思わず、大きな声を上げてばーちゃんに話しかける。

隣にいた、親父が「ちょっと声が大きいぞ」って言われるほどの声が出た。

だって、目の前にいるばーちゃんは、元気のいいころのばーちゃんの顔だった。

そして、目をしっかり私と合わせて私が話しかけると優しい笑顔を浮かべて「うんうん」って頷く。

本当に、元気な時のばーちゃんだった。

私は、「嬉しい」という感情もありつつ、頭と、心と、感情が入り乱れて訳が分からない状態になる。

それから、少し時間が経ち冷静になれ「私と認識をして笑顔を見せてくれているのか?」「言葉かけをどこまで聞こえているのか?」とか冷静に状況を考える。

でも、そんなことはどうでもよかった。

私のばーちゃんに対する命への向かい方でドキドキしていた自分がとても恥ずかしくなった。本当に恥ずかしく、自分の弱さが露呈した。

そして、病室のベットに寝ているばーちゃんのあの笑顔がすごく大きく見えた。

明らかに、ばーちゃんが孫である私を見る眼差しと表情。

上から視線を下げてばーちゃんを見ていたのだが、そのことを感じた瞬間から目線を合わせて、話をした。

なんか、たまらなかった。

更に感情がぐちゃぐちゃになって、涙が溢れてあまりそれからは、話が出来ずちょっぴり恥ずかしくもあり、あまり目線を合わせられなかった・・・。



そんな、面会だった。

その後、病院の帰り道に両親の買い物に連れていき、夕ご飯を食た。
勿論、ばーちゃんのことも話もするけど、日常の会話に戻る。

あー、生きるってこういう事かとも思う。

そして、死を待つばかりの元気なばーちゃんは今も4人部屋の一つのベットに横になっている。

死を待つばかりという表現は、語弊があるが事実その時まで「待つ」場所であることは事実である。

先進医療というは、助からない命が助けられ維持できなくなった命もつなぐことが出来る。

凄いことだ。

でも、その医療のおかげでつないでもらった命を生活として、守るのは私たち一般市民だ。

命は大切で尊いものであり、死は怖くて悲しいものである。

でも、命はだからこそ重くそこを支える一般市民は思い十字架を背負うことにもなる。

私たち生がある人は、生活をしなければならない。
何故ならば、それは生きることだから。

でも、医療によって繋ぎとめてもらった命を守る人たちは、きっと自分の「命=生」を削ってその命を守るしかない。

勿論、繋ぎとめてもらったから今の生が成り立っているという、人もいるだろう。

答えなんてないのは明白であり、私ごときの人間に答えが出せる問題でもない。

でも、病院で「生命維持医療しますか?」って聞かれるわけですよ。
ようは、生かしますか?殺しますか?って選択ですよ。

誰もが通らねばならない道です。
死を見て生を感じるとはこのことです。

私は、弱虫で本当に憶病です。
こうやって、実はばーちゃんの事実から目を背けているのかもしれません。

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