私的偏愛録 其の二十一 シェル・シルヴァスタイン『おおきな木』
先日、ヨーロッパ企画の舞台『鴨川ホルモー、ワンスモア』を観に行った。青春時代をとうに過ぎ、疲れ切った社会人になってしまったわたしは近年、青春ものの小説やドラマ、映画から遠ざかっていた。京都の大学生達の青春群像劇というきらきらしたものを摂取したらどうなるのか、一抹の不安を抱えながらの観劇であった。
だが、そんな不安はすぐに消えた。気がつけば目の前で繰り広げられる青春の数々に引き込まれていった。登場人物一人ひとりが魅力的で、くすくす、けらけら、はらはら、どきどき、あっという間